本当に久しぶりにインド映画を見ました。
評判の映画、アーミル・カーンの「ダンガル」です。
女子レスリングの浜口京子さんとその父親であるアニマル浜口さんを彷彿とさせる映画でした。
アーミル・カーンの映画といえば、Lagaan、3 Idiots、PK といった傑作が勢ぞろいしています。それらに比べると、ダンガルには少し物足りなさを感じました。
映画は現実の一部を切り取って、それを単純化して見せるものですが、ダンガルは少しばかり単純化しすぎている気がしました。アーミル・カーンの映画らしく、主人公が良い子過ぎる点も気になりました。
アーミル・カーンの映画は、どれもインド社会のタブーに切り込んでいます。Lagaan ではダリットと呼ばれる不可触民の問題が取り上げられていたし、3 Idiots では大学における勉強と企業への就職の問題が取り上げられていました。PK では、ヒンズーの神の問題を正面から取り上げていました。
今回のダンガルでは、家事労働を強制され、若くして親の意向で結婚させられるインド女性の問題が取り上げられていましたが、先の 3 作品に比べると、問題を訴えるというよりは、より娯楽映画の要素が強かったようで、その部分が物足りなさにつながったのかもしれません。
日本語のタイトル「きっと、つよくなる」は、まったくいただけません。
3 Idiots の邦題「きっと、うまくいく」もつまらないタイトルでしたが、それをもじった今回の邦題は、2 匹めのどじょうを狙ったもので「バッカじゃないの」としか思えませんでした。
ダンガルの良かった点は、最後に親父が娘の試合の応援席にいなかった点です。
これで娘は親からの自立を果たしたわけで、これがなければ、映画として成立しなかったと思います。
欲を言えば、娘と親父の葛藤をもう少し丁寧に描いてほしかったし、娘にボーイフレンドができてもよかったように思います。娘の親離れというか、娘が自立していく姿を、もう少し見てみたい気がします。