2015年4月26日日曜日

ネパールで巨大地震

昨日、ネパールで巨大地震。
たまたま親しいネパール人が帰省していたときの地震だったので安否が心配されたが、電話で彼女と彼女の家族の無事を確認。一安心だが、日本のように食糧や水の配給があるわけではないし、余震も続いているとのことで、これからが大変かもしれない。
今は、近所のスーパーに避難しているとのこと。暖かくなってきたとはいえ、夜は冷えるだろうから、それも心配。日本の地震のようにニュースが刻々と入ってくるわけではないので、もどかしい。

2015年4月24日金曜日

I (アイ) -- 予備知識

タミル映画『 I 』(アイ)の字幕翻訳を開始。
最初から面白さ爆発。

字幕の翻訳をしていると、さらりと映画を見ただけでは気が付かないようなところも気になる。
特に、今回の映画は南インド映画。
聞き慣れない言葉がわんさか登場する。

タミル映画は、ほとんど見たことがない。
「ロボット」と「チェンナイ・エクスプレス」くらいだ。
おっと、「チェンナイ・エクスプレス」は舞台が南インドなだけで、ボリウッド映画だった。

「ロボット」はタミル映画だったけど、タミル特有の服装でもなかったし、タミル特有の料理も出てこなかった。アイシュワーリヤがイドリやドーサを食ってるなど、ちょっと想像できないから、監督も配慮したのかもしれない。
「チェンナイ・エクスプレス」では、タミル語を覚えた。
「イッレー」(No、いいえ)。これは、『 I 』にも出てくる。知ってる言葉が出てくると、嬉しくなる。

『 I 』は生粋のタミル映画。まずは、主人公リンゲサン(ビクラム)のこの格好。


腰に巻いているのは、ルンギーという伝統衣装。高温多湿の地域ではズボンより快適とのこと。日本のステテコを持っていったら、売れるかも。

『 I 』では、リンゲサンがモデルのディヤに熱を上げるのだが、リンゲサンの友人バブー(サンサナム)がこんなことを言う。
「皆、トリシャや、アヌーシュカや、ナミータのファンだ。ソナのファンもいる。ディヤに熱を上げているのは、お前だけだ」
ディヤ(エイミー・ジャクソン)は、この映画のヒロイン。すごい美人だけど少し痩せすぎ。


さて、トリシャ、アヌーシュカ、ナミータ、ソナは、映画のせりふにも出てくるくらいだから、南インドでは誰でも知っている有名な女優さんらしい。映画を見る前の予備知識として、調べておこう。

トリシャ・クリシュナン

1999 年のミス マドラス。
アヌーシュカ・シェッティー

女優になる前は、ヨガの先生だった。
こんな美人の先生なら、世の男どもは絶対にヨガ習いに行くよな。
ナミータ

ミス インド コンテストで何度か次点になっている。
テレビ コマーシャルにも多数出演。
ソナ・ヘイレン

2002 年のミス南インド。

南インド映画はほとんど見たことがないので、彼女たちがどんな映画に出て、どんな演技をしているかは知らない。こんな美人の女優さんたちが出ているのなら、南インド映画も見てみなければ。

この映画には、南インド特有の料理の名前も出てくる。
リンゲサンはディヤの大ファンで、彼女がコマーシャルに出ていれば、その製品を買っている。
その中には、ブラジャーも。
それを見て、リンゲサンの母親は「それ、私にちょうだい。イドリの布に使うわ」
すると、バブーが「クシュブーイドリじゃなくて、ディヤイドリだ」
むむ、何のこっちゃ?

ここで役に立つのが、下の動画。


クシュブーイドリの作り方。たこ焼きみたいな感じもするね。なるほど、これにブラジャーを使うのか。相当でかいイドリができそう。

この映画を見る前に調べておきたいこと、もう 1 つ。
リンゲサンはボディビルダーで、ミスター インドを目指してボディビル コンテストに出場する。
ビクラムは、この役のために 6 ヵ月もトレーニングしたんだって。プロだねぇ。


ボディ ビルの規定ポーズの名前が出てくるので、覚えておこう(下のイラストは、ここから流用させていただきました)。


必要な予備知識は、とりあえず、こんなところかな?

2015年4月22日水曜日

PK -- 久々の S 級映画!

PK、自分なりに訳した日本語字幕付きで見直した。評価は堂々の S
2008年公開の『Jodhaa Akbar』(ジョーダ・アクバル)以来の S 級映画がついに登場だ。
よかった! 最高に良かった!
今年のインド映画賞は、これで決まりだ!!

インドで、宗教をよくぞ真正面から取り上げた。
圧巻は、2 時間 7 分 4 秒過ぎからの PK のせりふ。
日本語訳を字幕倉庫に入れておいたので、興味があればぜひ味わってほしい。

これほど良くできた映画は、本当に久しぶりだ。
映画自体、ユーモアに満ちていて、非常に面白い。
それでいて、ガツンとやられる。考えさせられる映画だ。

あらすじ

宇宙船に乗ってやってきた 1 人の宇宙人。
着陸した場所は、インドのラジャスタン。
地球に着いてすぐに、宇宙船を呼び戻すためのリモコンを盗まれてしまう。
宇宙人は服を着ていない。素っ裸。
言葉も話せない。
助けてくれる友達もいない。
どうやって家に帰ろう。

PK (アーミル・カーン)

宇宙船のリモコンを盗まれて、家に帰れなくなった宇宙人。

同じ日、ベルギーのブルージュでは、インド人のジャグーとパキスタン人のサルファラーズが出会って、愛し合うようになる。しかし、イスラム教徒との結婚にジャグーの両親は大反対。ジャグーの父親は、信仰しているヒンズー教系の怪しげな教祖、タパスウィーの元に駆け込む。

ジャグー (アヌーシュカ・シャルマ)

ややアヒル顔の美人。TV ニュースのレポーター。
ベルギーでサルファラーズと恋に落ちる。

サルファラーズ (スシャント・シン・ラージプート)

ベルギーでのジャグーの恋人。
いい笑顔、いいやつ。
パキスタン人。

ジャグーの父親 (パリークシット・サハーニ)

タパスウィーの熱心な信者。
騙されやすい善人。
ジャグーは父親を愛しているし、尊敬している。
インド人は、日本人のように父親をバカにしたりはしない。

タパスウィー (サウラブ・シュクラ)

ヒンズー教系教団の教祖。
神の声を聞く振りをしている。
PK のリモコンを持っており、シバ神から貰ったと言い張っている。

ベルギーにいるジャグーと、インドにいる父親およびタパスウィーとは、Skype でつながっている。タパスウィーは神の言葉として、次のようにジャグーに言う。
「そのパキスタンの青年は、あなたを騙している。あなたを利用するだけで、結婚はしない」
そして、「イスラム教の連中は嘘をつく以外に何もしない」と、イスラム教に対する偏見むき出し。

ジャグーはタパスウィーの神の言葉が間違っていることを証明するために、サルファラーズに「明日結婚してくれ」と言う。
翌日、ジャグーが結婚手続きのために登録所に行くと、子供が手紙を持ってくる。
それは、別れの手紙だった。

ジャグーは、失意の内にニューデリーに戻る。
ニューデリーに戻ったジャグーの仕事は、小さなニュース テレビ局のレポーター。
変なチラシを配っている人物に出会う。それは、例の宇宙人。
チラシには、神様を見つけた人は PK に連絡してくれと書いてある。
どうやら、神様を探しているらしい。
ジャグーはニュースになると思ったが、テレビ局のボスは昔、タパスウィーの信者に痛い目に合わされたことがあって、宗教の話題は厳禁。取材の許可は出なかった。

2 週間後、ジャグーは再び PK に出会う。
PK は寺で賽銭を盗もうとするが、ジャグーの機転で捕まらずに済む。
PK はジャグーに、デリーでは警察の留置所に泊まっていると話す。
留置書がホテル代わりのようだ。
警官の目の前で立小便をして警察に連れて行かれる PK。
ジャグーは、それを追いかけて警察に。

警官に賄賂を渡して、PK が入れられている房にジャグーも入る。
自分がテレビのレポーターであることを明かして、話しを聞かせてくれとジャグー。
PK は、自分の仕事が宇宙飛行士で、他の星から来たことを明かす。
しかし、その話しは、到底信じられる内容ではなかった。

PK の星では、相手と手をつなぐことによって、相手の考えを自分に転送できる。
しかし、最初、PK は誰とも手をつなぐことができなかった。
だから、言葉も、他の何もかも、何一つわからなかった。

PK は、人々が着ている服を、最初は皮膚だと勘違いする。
服のことを覚えたら、次はお金だ。
なぜ、この写真を渡すと食べ物がもらえるのだろう?

やがて、PK は気が付く。
盗られたリモコンを探すには、言葉を覚えなければならない。
しかし、言葉を覚えるには誰かの手を長時間握る必要があった。

言葉がわからない PK は騒動を起こし、逃げているうちに自動車にぶつかる。
ぶつけたのは、この地方の有力者。
何と、何と、演じているのは、ギャング役をやらせたら右に出る者がいない、あのサンジェイ・ダット! えっ、えっ、えっ、本当だ!

バイロン・シン (サンジェイ・ダット)

車にぶつけてしまい、そのために PK が記憶喪失。
記憶が戻るまで、客人として PK を迎える。
PK の最初の友達で、PK の兄貴分。

言葉を覚えるためには、誰かの手を握らなければならない。
PK は、誰彼なしに、女性を手を握ろうとする。
それを見かねて、PK を娼館に連れて行く。
紹介された娼婦プールジャリアの手を握る PK。
言語の転送に 6 時間。


ついに PK は言葉を理解し、話せるようになる。
リモコンを取り戻したいと訴える PK、
バイロン・シンは、盗まれたものはきっとデリーだと言う。
「そいつがどこに売ったかが分かれば、取り戻せるかもしれない」

PK は、盗まれたリモコンを探しにデリーへ。

デリーで PK は、人々が神様を口にするのを発見する。
「そんなこと分かるか、俺は神様じゃない」
「助けて欲しければ、神様にすがりなさい」
「それは、神様だけがご存知だ」

いったい何なんだ、神様とは!
盗まれたリモコンを取り戻すには、神様が必要だ!!!!

ここから、PK の神様探しが始まる。
神様、僕のリモコンを取り戻してください。

しかし、インドのこと、神様はいっぱいいる。
ヒンズー、イスラム、キリスト、シーク、ジャイナ、その他色々。
いったい、どの神様を信じれば良いのだろう。

PK は思う。
すべての宗教のすべての神様を信じよう。
その中に、きっと本物の神様がいるはずだ。

しかし、経典を読んでも、儀式を行っても、リモコンが戻ることはなかった。

神様、僕はあなたを探し疲れました。
神様、あなたはどこにいるのですか。
神様、なぜ僕の願いを聞いてくれないのですか。

そんなある日、PK は神様が歩いているのを見つける。
野外ショーに出演するために神様の格好をしていただけなのだが、PK は本物の神様だと思う。
「いた! ついに神様を見つけた。絶対に逃がすものか」

神様がトイレに入る。PK は続いて入って、ドアに鍵。
「おい、僕のリモコンを持って来い」
「お前は誰だ?」
「PK だ、PK」
PK はインド人のありふれたイニシャルだが、ヒンディー語では「酔っぱらい」の意味。
「助けてくれ! トイレに閉じ込められた。酔っぱらいがいる!」と神様。
神様、すきを見てトイレから逃げ出す。
追いかける PK。

神様が逃げ込んだ先は、タパスウィーの信者の集会。
タパスウィーは、信者に向かって、ヒマラヤで神にもらったものを見せると言う。
現れたのは、PK が探していたリモコン。


感激する PK。
「ありがとう神様。僕は神様が逃げたと思った。
しかし、神様は、僕をここに連れてきてくれたんだ」

PK はタパスウィーに言う。
「あれはシバのものではありません。僕のものです。
では、あれを貰っていきます」
しかし、PK は警備員につかまり、放り出されてしまう。

そんな PK の話しを聞いたジャグー。
「あなたは 精神科医に診てもらうべきだわ」
宇宙から来たなど、信じられるわけがなかった。

PK は言う。
「僕の話しを嘘だと思っているんだな」
そう言って、自殺犬の話しをする。
自殺犬はジャグーしか知らない話し。なぜ、それを PK が知っているのか。
さらに賄賂を渡して PK を外に出したジャグー。
「あの話し、なぜ知っているの?」
「君の手を握ったからわかった」と PK。
「嘘を言わないで。きっと、私が話したのよ」
「僕は嘘がつけない。嘘は口を使うが、僕たちの世界では手を握って会話する。
手を握らせてくれ」
そう言って手を差し出す PK。

その PK の手を握ったのは 1 人の老人。
「妻の治療にお金が必要なんです。500 ルピー足りないんです」
PK は言う。「差し上げます」

「あなたは、騙されたのよ」とジャグー。
しかし、PK は、その老人は妻と高級ホテルで食事をしていること、妻の 75 歳の誕生日であること、年金をこつこつ貯めたこと、2 人の始めてのホテルでの食事であること、妻がデザートにアイスクリームを頼んだためにお金が足りなくなったことを話す。
「作り話しをしないで!」とジャグー。
しかし、老人の後をつけていくと、、、、

PK の話しは本当だった。
ジャグーは気が付く。これまでの PK の話しは、すべて本当のことだったのだ。

ジャグーは PK に言う。
「あなたのリモコンは私が見つける」
ここまでが、この映画の前半。後半は、いよいよ PK とタパスウィーとの対決。

映画前半のキーワードは पीके है क्या (ピーケー・ヘ・キャ)だった。
後半のキーワードは、यह रॉंग नंबर है (イエ・ロング・ナンバル・へ)
  • यह (イエ) = それは
  • रॉंग (ロング) = wrong = 不正な
  • नंबर (ナンバル) = number = 番号
  • है (へ) = です
つまり、「それは、間違い電話だ!」

宗教家(教祖)が神の言葉を聞いて、それを人々に伝える。
しかし、明らかに嘘だという内容も多い。
なぜか?
PK は考える。なぜ、神様は自分の願いを聞いてくれなかったんだろう。
それは、宗教家が正しい神の声を聞いていないからだ。
きっと、間違い電話をしているんだ。
間違い電話をされた相手は、冗談を言っているのだ。
宗教家は、それを本当の神の言葉と信じて伝えているに違いない。

ジェリー (ボーマン・イラニ)

ジャグーが勤めるテレビ局のボス。
以前、タパスウィーの信者に痛い目に合わせられてから
宗教をテーマにした番組作りは厳禁。


ジャグーは、間違い電話という PK のユニークな発想を聞いて、PK をテレビに出そうと計画。PK とタパスウィーをテレビで対決させようというのだ。
ジャグーのボスであるジェリーは、昔、タパスウィーの信者に痛い目に合わせられたことがある。ジャグーの計画に最初は反対していたが、PK のユニークさを目の前にして、PK をテレビに出すことを承知する。

ジェリー役のボーマン・イラニは、「3 Idiot」では学長を演じて、その存在感を示した名脇役だ。

インチキ宗教家の言葉に、PK は言う。
「本当の神様なら、そんなことを言うわけがない。それは、間違い電話だ」
多くの人々が PK を支持し、PK のユニークな発想が全国に広がる。

そして、いよいよ、PK はテレビでタパスウィーと直接対決することに。
PK がタパスウィーに発した言葉、それが冒頭に紹介した 2 時間 7 分 4 秒過ぎからのせりふだ。

「私がジャグーに言った神の言葉、サルファラーズに関する神の言葉が嘘だと言うのか」
サルファラーズがジャグーを騙している。イスラム教徒は、皆、嘘つきだ。
サルファラーズは、ジャグーを利用するが、結婚はしない。
タパスウィーは、ジャグーにそう言ったのだ。
「そうだ、そのとおりだ」と PK。
「それなら、証明してもらおう」
タパスウィーは、嘘だと証明できたら、リモコンを返すという。

PK とジャグーの愛も、見事に表現されている。


ラストは、ぜひ映画で見て欲しい。
歌もダンスもストーリーも最高!
何度も繰り返すが、本当に素晴らしい映画だ。

2015年4月9日木曜日

Shankar's I (2015)

今年 1 月に公開されたばかりのタミル映画『I』(アイ)。
音楽のクオリティー、抜群!!!!
この前紹介した Mersalaayitten (マラサライテン)は、この映画の曲の 1 つ。
この曲以外も素晴らしい曲ばかり。

それもそのはず。
この映画の監督は、日本で「ロボット」のタイトルで公開されて大ヒットした Enthiran の監督、シャンカールその人なのだ。

ロボットでは、ロボットが人間の女性(アイシュワリヤー)に恋をして破滅していくという、どこか物悲しさが漂うストーリーでもあったが、『I』はビューティ&ビーストの雰囲気。ビーストが自分を破滅させた連中に、次々と復讐していくロマンティック・アクション・サスペンス。


PK も、ものすごく面白いが、作業が止まってしまっている。
間もなく再開予定。

PK の後は、この『I』を日本語字幕で見たい。日本語字幕付き DVD は、どうせどこにも売っていないだろうから、また自力翻訳だ。

しかし、『I』は PK と同様に、自力翻訳が苦にならないほどの素晴らしい映画に違いない。
IMDb の評価も 8.0 とすこぶる高い。
見たい、見たい、早く見たい! 日本語字幕で、今すぐ見たい!!!!!!!