2017年7月17日月曜日

Piku(ピクー)-- その 5

その 5 かどうか怪しいですが、Piku の 5 回目くらいだろうということで、「その 5」としてみました。
暑さのせいで、Piku の字幕翻訳は 30% まで進むのが精一杯でしたが、映画の中で日本人を扱った新聞記事が出てきたので紹介します。


日本の自転車選手が 99 歳で亡くなったという記事です。

ピクーの父、バスコールは自分の健康が心配で、1 日に何度も血圧を測らなければ気がすみません。バスコールの亡き妻の妹チョビーは、バスコールのせいで姉が幸せではなかったと思っていて、事あるごとにバスコールにきつく当たります。

そして、バスコールが自分の健康を過剰に心配していることについて
「この人、更年期障害よ。男にも更年期障害があるのよ」と言います。
それを聞いていた医者は、バスコールに向かって
「彼女の言うことは気にするな」と言って、上の新聞記事を見せます。
「彼の名は浅古、99 歳で自転車の選手だ。先週、亡くなった」

浅古という漢字は私が当てはめました。英語字幕では Asaako で、せりふを聞いても確かに「アサコ」と言っています。
インド人にとっては、Asaako が日本人らしい響きを持っているのかもしれませんが、日本では非常に珍しい苗字だということを、誰も教えてあげなかったようです。

上の記事を見たバスコール、それまで自転車に乗った経験がなかったようですが、早速自転車に興味を持って、乗る練習を始めます。

バスコール役のアミタブ・バッチャンはもちろんのこと、チョビー役のマウシュミ・チャテジーも芸達者な役者さんで、皆でピクー役のディーピカ・パドコーンを盛り立てています。歌も踊りもありませんが、アミタブ・バッチャンの映画に外れなしというのは本当です。

2017年7月14日金曜日

Piku (ピクー) -- 7 つの誓い

今日は気分が良くて、仕事もほとんどなかったので、字幕の翻訳が少し進みました。
Piku の字幕翻訳、ワード数にして 26%、上映時間にして 24 分完了です。
この 24 分の大半は、ピクーの父親、バスコール(アミタブ・バッチャン)がどういう人物なのかを描くために使われています。
一言で言うと、偏屈な爺さんです。
しかし、その考えには一理あります。
周りの人は、うっとうしい爺さんだと思いながらも、その爺さんを愛しています。

う~ん、寅さんのようなと言うとちょっと違うかもしれませんが、問題児ではあるけれども憎めないキャラクターです。

バスコール爺さん、結婚は下らないと考えています。
昔の日本にも「女三界に家なし」という言葉があって、女は「幼い時は親に従い、嫁に行っては夫に従い、老いては子に従う」とされていました。
そんな考えに反対のバスコールは、亡き妻の誕生日に集まってくれた人の前で言います。
「結婚するヤツは IQ が低い」

それに反発するのが、バスコールの亡き妻の妹です。
「私の IQ は低いの? 姉さんの IQ は低かったの?」

バスコールは思っています。
ピクーが結婚できないのは、自分の世話をしてくれているからだ。
しかし、他の男と結婚すれば、その男の世話をするだけだ。何も変わらないではないか。

そして、次のせりふです。
「結婚式の 7 つの誓いで、火の中に自我を捨て 知識を捨て、誇りを捨て、自分の考えを捨て、より良い人生を導く。それは IQ が低い人間のすることだ」


バスコールは、自分に尽くすだけの人生だった亡き妻を心から愛しているのです。

ここで気になったのが、「結婚式の 7 つの誓い」です。
インド人は、結婚式で何を誓うんだろう。

調べてみました。
インド映画には、インドの結婚式の様子がよく出てきます。
7 つの誓いは、ヒンズー教の結婚式です。
結婚式で火の周りを回りながら、2 人で 7 つの誓いを立てます。
7 つの誓いについては、ここに詳しく書いてくださっている方がいます。
それらしき動画を探してみましたが、これしか見つかりませんでした。


火の周りを 2 人で回っているのはわかりますよね。
この瞬間に、女性は自我を捨て、夫に尽くすだけの人間になる。娘のピクーには、そんなことはさせたくない、、、というのが、バスコールの主張です。
なるほど、日本映画には存在しないテーマです。

インド映画から色々なことが学べます。
知らない世界を見ることができます。
知らない世界を見ることは、楽しいことです。

2017年7月13日木曜日

Piku (ピクー) -- 気温は摂氏、体温は華氏

久々に Piku の字幕翻訳の続きをしました。
最近は Google 翻訳の品質がすごく向上していて、文法的にきちんとしていれば、ほぼ正確に翻訳してくれます。映画の字幕のように、文法的に不完全な口語でも、昔のように「なんじゃ、こりゃ?」というような悲惨な翻訳はなくなりました。

しかし、言葉を置き換えるだけでは日本語字幕にはなりません。
たとえば、「98.8 fever」を Google 翻訳は「98.8 熱」と訳してくれます。
これ、医者に電話で体温を伝えているシーンなので、せめて「熱は 98.8 度です」と訳してほしいところです。しかし、常識的に体温が 98.8 度などということはありません。これって、温度の単位が摂氏ではなく華氏です。華氏 98.8 度は、摂氏 37.1 度。なので、日本語字幕では「熱は 37.1 度です」としなければなりません。


インドでは、気温には摂氏を使いますが、体温には華氏を使います。日本人としては、どちらかに統一せずに混乱しないのかと思います。
ちなみに、人間の平熱は華氏 96 度、熱があるという状態は華氏 100 度以上です。慣れてしまえば、感覚的にわかるのでしょう。

映画が始まって、まだ 15 分のところを訳しています。
まるで亀の歩みです。
頑張ります。