2012年4月30日月曜日

インド映画『Johdaa Akbar』(ジョーダ アクバル)- その4

結婚式が終わり、ジョーダの寝室を訪れたジャラルディン。
ジョーダは、ベッドの上で膝を抱えて身を固くしている。


ジャラルディンが傍らに腰を下ろし、ジョーダに触れようとすると、ジョーダは避けようとする。

「この結婚が気に入らないのか」とジャラルディン。

黙ったまま、何も答えないジョーダ。ジャラルディンは言う。
「イスラムには、女性にも平等に、離婚する権利がある。
この結婚を望まないのなら、"クーラ" を選択して自由になるとよい。
あなたの権利だ」

"クーラ" とは、イスラム法典で認められている女性からの離婚。
この結婚が嫌なら、離婚することもできると言うのだ。

ジョーダが口を開く。
「私の条件を受け入れてくださって感謝しています。
しかし、なぜ心が晴れないのか、自分でも分かりません。
宗教と文化の違いが、大き過ぎるからかもしれません。
私は、この結婚を承諾しました。
しかし、私の心は、あなたに近付くのを拒んでいます」

「あなたの気持ちは理解できる。
無理強いはしない。
あなたの心が許してくれるまで、待つことにしよう」

そう言って、ジャラルディンはジョーダの寝室を後にする。
ジャラルディン、何と、いい奴なんだ!

ジョーダはムガルの宮殿(アーグラ城)に入る。そこで、ジャラルディンの実の母親ハミーダ バーヌ ベーガムと、ジャラルディンの乳母マーハム アンガーを紹介される。

ハミーダ バーヌ ベーガムは、ジョーダに言う。
「マーハム アンガーは特別な人。
私が離れていた 15 年間、彼女がジャラールを育てました。
ジャラールは 私の言葉を無視しても、彼女の言葉には従います」

ムガルの実権は、乳母マーハム アンガーが握っていたのだ。

写真下、左からジョーダ、ハミーダ(実母)、マーハム(乳母)。
ジョーダ、可哀そう。ハミーダ、人が良さそう。マーハム、怖そう。


ジョーダは、宮殿の後宮に入り、祈りの部屋に小さなクリシュナ寺院を作る。

宮殿では、最高会議(正式名称が分からん!)が行われている。
「シャリフディンは、あなたがラジプートの姫と結婚したことを快く思っていません。
この結婚がムガルの滅亡を招くとまで言っています!」

イスラム法学者が発言する。
「無視できないのは、この城にヒンズー寺院を作ったことです。
皇后のために、イスラムの伝統が変更されるようなことがあってはなりません」
そう言うか言い終わらないうちに、遠くからジョーダの歌声が聞こえてくる。
クリシュナ神を称える祈りの歌「Man Mohana」(心の神)だ。

 
ムガルの中にも反対の声は強い。難しい舵取りを迫られるジャラルディン。しかし、ジョーダに対しては、あくまで礼儀正しい。
ジョーダの額にビンディー(赤い印)を付けるジャラルディン。
女神のような、美し過ぎるジョーダ。これでは、男なら、何も言えるはずがない。
ジャラルディンも、俺も、完全にジョーダに惚れている。

台詞がほとんどないシーン。2 人の演技力。なかなか、やるものだ。

ここまでの上映時間、1 時間20分。話しが、ようやく面白くなってきた。
しかし、翻訳は、なかなか進まない。


2012年4月28日土曜日

インド映画『Johdaa Akbar』(ジョーダ アクバル)- その3

前回は、アメール王の後継者になれなかったスージャマルが、ムガル皇帝ジャラルディンの義理の弟シャリフディンに助力を求めるところで終わった。今回は、その続き。

スージャマルがムガルのシャリフディンに助力を求め、アメール王座を奪おうとしているとの知らせは、アメール王バールマルのもとに届いた。

ムガルの軍が攻め寄せれば、アメールは滅亡する。
そう考えたバールマルは、先にムガルと同盟を結び、その傘下に入ることを決断する。
しかし、ラジプターナ諸王はこぞって反対。「あなたとの付き合いもこれまでだ」と、バールマルは裏切り者扱いされてしまう。

バールマルは、ジャラルディンに面会を求めて、サンガネールに出向く。
ジャラルディンは、象の闘技場にいるという。象の闘技場でバールマルは尋ねる。
「陛下はどちらに?」
「そこです」
象と戦っているのが、何と、ジャラルディンだったのだ。


皇帝のテントでジャラルディンに面会したバールマルは、アメールをムガルの傘下に加えてくれるように依頼する。ジャラルディンが快諾すると、バールマルは「もう 1 つお考えいただきたいことが...」と切り出す。

「我が娘、ジョーダ姫を貰っていただきたい」

しばらく返事をしないジャラルディン。
そして、「少し考えさせていただきたい。
モイーヌッディーン チシュティー廟に行った後に返事をさせていただく」

モイーヌッディーン チシュティー廟とは、アジメールにあるイスラムの聖地。アジメールにはイスラムの聖者モイーヌッディーン チシュティーの墓がある。この墓の前で願いごとをすれば、願いが叶うと言われている。宗教に関係なく霊験があるとされており、現在もイスラム教徒だけでなく、ヒンズー教徒も含め、多くの人々が訪れるとのことだ。
モイーヌッディーン チシュティーの詳細(英語)

ジャラルディンは、モイーヌッディーン チシュティー廟で、ムガルによるインド統一を願う。この祈りの場面で、「お助けください、クワジャ」という台詞が出てくる。クワジャとは何だ?
あれこれ調べて、ようやく判明! 聖者モイーヌッディーン チシュティーのフルネームが、クワジャ モイーヌッディーン チシュティー。 分かってみれば何ということもないが、知らないと、こんなところでも時間を使ってしまう。

祈りを捧げた後、外に出たジャラルディンにハーン ババとシャリフディンが加わり、3 人の会話となる。この会話のシーンは、ジャラルディンがジョーダとの政略結婚を受け入れることを決断する重要な場面だが、英語字幕で鑑賞したときは会話の内容がさっぱり理解できなかった。

「バイラム ハーンは、何年もの間、私の名前を使ってムガルの実権を握ってきた。
その間、私は不思議だった。
我々は、なぜ全インドを支配できないのか。
どうすれば良いのか、その方法が分からなかった。
結婚による新しい結び付き。
これはアラーの意思だ。
アラーよ、進むべき道をお示しくださり感謝いたします」

一方アメールでは、バールマルが
「アメールのために、お前の幸せを犠牲にしてくれ」とジョーダを説得。

異教徒と結婚させられるジョーダに、母親のパドマバティは小瓶を手渡して言う。
「毒の入った、このビンを持ってお行き。
名誉をなくすくらいなら、毒を飲みなさい」

こうして、ジョーダは結婚のために、ジャラルディンの露営地に赴く。
露営地で、ジョーダは「私にも条件がある」と言い出す。
この映画の 1 つの山場だ。

ジョーダは、ジャラルディンに向かって言う。
「2 つの条件があります。
それらを受け入れてくださったときにのみ、結婚いたします」
「条件とは?」
「最初の条件です。私の宗教と信仰を尊重し、私の伝統と習慣に従うことを認め、いかなる状況でも改宗を迫らないでください」
「それから?」
「2 番目の条件です。神の像を持ち込むことを許し、その神のために、私の部屋の中に寺院を作ることを認めてください」

黙ってテントを出るジャラルディン。
イスラム教にとって、偶像崇拝はタブーだ。
しかし、ジャラルディンは、テントの前で皆に向かって宣言する。
「アメール王女ジョーダとの結婚を受け入れる!
アラーの思し召しにより、ジョーダの要求は叶えられよう」

こうして、ジャラルディンとジョーダの結婚式が執り行われ、スーフィーの一団が、クワジャ ガリーブ ナワーズを称える歌「Khwaja Mere Khawaja」(聖クワジャ)を歌う。ガリーブ ナワーズ(貧者の慈愛者)とは、モイーヌッディーン チシュティーの別名だ。

スーフィーとは、イスラム神秘主義の修行者とされている。ウィキペディアによると、インドにおけるスーフィーは、「宗教の違いに関わらず神への愛に依り魂は救われるという思想を展開した」とのことだ。インドにイスラム教が広がったのは、剣かコーランかといった荒っぽい方法ではなく、スーフィーたちの地道な慈善活動の賜物という。

映画では、スーフィーの一団の中で、ジャラルディンが神の啓示を受けたかのような演出がなされている。イスラムの多数派ではなく、スーフィーの聖者クワジャ ガリーブ ナワーズを登場させたことによって、この映画はイスラム教徒とヒンズー教徒の両方の観客に受け入れられるものとなっている。

注: 実際のムガル帝国は、スンニ派。結婚式でスーフィーが歌うなど、史実として有り得ないと思われる。しかし、ジャラルディンがインドのヒンズー教徒を弾圧したとか、改宗を迫ったという事実はなく、ジョーダがヒンズー教であり続けたのは史実かもしれない。ジョーダがヒンズー教であり続けることは、ムガルがインドを統治する上でも、好都合だったのではないだろうか。

英語字幕で鑑賞したとき、「Khwaja Mere Khawaja」を変わった歌くらいにしか思わなかった。しかし、クワジャ ガリーブ ナワーズの概要や、インドに対するスーフィーの影響を知ったうえで聞き直すと、本当に良い曲だ。当初は、結婚式なのに気の利いた歌もダンスもなしか、と思った。しかし、「Khwaja Mere Khawaja」を繰り返し聞くうちに、宗教の異なるジャラルディンとジョーダの結婚式には、この曲がぴったりだと思うようになった。味わい深い名曲だ。


ここまでの上映時間、約 1 時間。物語は、まだ始まったばかりだ。

2012年4月26日木曜日

インド映画『Johdaa Akbar』(ジョーダ アクバル)- その2

翻訳開始!  『Jodhaa Akbar』(ジョーダ アクバル)は、インド映画の最高峰『Lagaan』(ラガーン)と同様に、インド映画の神様であるアミタブ バッチャンの重厚なナレーションで始まる。

その第一声が「ヒンドスタン」。


DDLJ でも、「ヒンドスタン」という言葉が頻繁に出てきて、どう訳すかで悩んだ。DDLJ では「インド」と訳したが、今回もいきなり「ヒンドスタン」で、翻訳がストップだ。地理的にはインド西北部、インダス川からデリーあたり一帯を指すらしい。「ヒンドスタン」とするか、「インド」と訳してしまうか、「西北インド」あるいは「北インド」とするか悩ましい。こんなところで詰まっているものだから、遅々として前に進まない。

ムガル帝国がヒンドスタンに侵攻したが、第2代皇帝フマーユーンが不慮の死を遂げると国内が混乱。その混乱に乗じて、敵対する諸侯の一人 ヘム王がデリーを占拠する。
フマーユーンの死後、実権を握った将軍バイラム ハーンは、即位したばかりの 13歳の若き第 3 代皇帝ジャラルディン ムハンマド(後のアクバル)を押し立て、デリー郊外のパーニパットでヘム軍と激突する。下の写真、左がバイラム将軍、右が若き皇帝ジャラルディン。


この後の戦闘シーン、よくぞ撮った。ン万の大軍が激突するシーンが見事だ。象部隊まで登場する。
時代は 1556年、日本では織田信長と弟の織田信行が尾張の家督争いをしていたころだ。う~む、さすが大陸の戦闘は規模が違う。エキストラの数も半端じゃない。

この戦争に勝利したバイラムは、傷付いて捕虜となったヘム王の首をはねるようジャラルディンに進言するが、ジャラルディンはそれを拒否する。単に臆病なだけなのか、他に理由があるのか?
バイラムは、一般兵から見えないように覆いをして自らヘムの首をはねてしまう。
そして、兵士に向かって叫ぶ。

「皇帝ジャラルディン ムハンマドも、本物のイスラム戦士だ。
若き皇帝に栄光あれ!」

なかなか良い将軍じゃないか。 臆病な大将には、誰も従わない。バイラムの言うとおりだ。

パーニパットの戦いの後 6 年間、バイラムはジャラルディンの名を使って、周辺諸国に勅書を送る。
「ムガルの臣下となって税を納めよ。従わなければ敵とみなす」
ムガル帝国は、その勢力を急速に拡大していった。

「アジャブガーは渡さん」と、ムガルの属国になることを拒否する国も現れる。しかし、戦いに敗れ、アジャブガー王は捕虜となってしまう。バイラムは、その首をはねようとするが、立派に成長したジャラルディンは、それを止める。

「私がお前の剣を止めたのは、これが初めてだ。
どういうことか分かるか?
今後、私は自分自身で物事を判断する。
捕虜には、慈悲を持って臨む」と宣言。

すぐに捕虜の首をはねてしまう非情なバイラムを、「メッカに巡礼に行け」と言って引退させる。バイラムも、黙ってそれに従う。
バイラムって、本当は忠実で良い奴なのだが、不器用で頭が古いだけだったのではないかと思う。日本で言えば、柴田勝家かな?

アジャブガー王は、ジャラルディンに向かって言う。
「私は、これまであなたを誤解していた。
あなたが統治するなら、何の異存もない」

バイラム引退後、ムガルに対峙したのは、ラジプターナ地方のラジプート族。
ラジプターナは地域の名称。ラジプートは言わば「雑賀衆」とか「根来衆」というようなものか。
武勇に優れたヒンズー教徒の一団で、小さな諸王国に分かれていた。

ラジプターナのアメール国に、ジョーダ姫とその従兄スージャマルがいた。2 人は仲が良かった。武術に秀でたスージャマル。スージャマルの父は先代のアメール王。スージャマルは、皇太子になれるかと期待するが、その期待は裏切られる。

アメールの王バールマルは、「アメールの統治をバグワン ダスに委ねる」と宣言する。誇りを傷つけられたスージャマルは、ムガルのシャリフディン フサインに助けを求める。

「時期が来たら、あなたがアメールの王座に着けるよう取り計らおう」とシャリフディン。
「ご助力、感謝します」
「ところで、私への見返りは?」
「何がお望みでしょう」
「あなたがアメール王になった暁には、デリーへの侵攻に力を貸してほしい」

シャリフディンは、ジャラルディンの義理の弟。そのシャリフディンが、ムガルの支配地デリーに侵攻すると言う。

「ジャラルディンの妹と結婚したから、今の私の地位がある。しかし、私が欲しいのは、全インドだ」と言ってのけるシャリフディン。相当な野心家だ。
「分かりました。助力しましょう」。スージャマルは、そう答えるしかなかった。

シャリフディンが悪人だということは、顔を見れば一目で分かる。三国志で言えば、呂布のイメージだ。 インド映画って分かりやすい!


ここまでの上映時間、約30分。翻訳が進んだのは、ここまで。
時間、かかる~!

2012年4月24日火曜日

インド映画『Jodhaa Akbar』(ジョーダ アクバル)- その 1

インド映画 DVD 『Jodhaa Akbar』(ジョーダ アクバル)を、英語字幕で観賞した。
何と言ってもこの映画、ジョーダ役のアイシュワーリヤの美しさが際立っている。


アイシュは、私の最もお気に入りの女優だ。『Devdas』(デーヴダース)を見てからというもの、すっかり惚れ込んでしまった。『Dhoom 2』(ドゥーム 2)では少し痩せすぎかなと思い、『Robot』(ロボット)では学生役はさすがに無理っぽいと思ったが、今回の『Jodhaa Akbar』(ジョーダ アクバル)では女神のような美しさが完全復活だ。アイシュには、インドの伝統的な衣装がよく似合う。

アイシュが登場するので、きっと得意のダンスを見せてくれると期待したが、ダンスはなし。音楽も、テーマ曲の Azeem O Shaan Shahenshah 以外は印象に残らなかった。音楽よりストーリー重視なのか。音楽を楽しむタイプの観客は、少し物足りないかもしれない。

アクバル役のリティク ローシャン、こんな現代風の男にムガル帝国の皇帝役が務まるだろうかと思ったが、見終わった後は、まさに適役と感じた。アクバル役を見事に演じきっている。インド映画の男優は、ほとんどがそうなのだが、この人もマッチョだ。男が見ても、羨ましいくらいに格好良い。『Dhoom 2』では見事なダンスを見せていたが、今回はダンスなし。


アクバルがジョーダの愛をいかに勝ち取るか、イスラム国家であるムガル帝国がいかにヒンズー教徒の支持を勝ち得るかが丹念に描かれている。結婚までは、少し退屈。結婚してからは、時間が経つのをすっかり忘れるほどの面白さだ。

ジョーダはアクバルと政略結婚させられたものの、アクバルを受け入れなかった。それでも、アクバルは決して無理強いせず、ジョーダの愛を勝ち取ろうと努力する。えらい!
間違ってもアイシュを手籠めにしたら、俺が許さん!
こんな美しい姫をもらえるのなら、俺なんぞ即 ヒンズー教に改宗だ。

英語字幕を目で追えるほどの英語力がないので、会話の内容は分からず。
それでも、そこそこ面白い。

これから、字幕の翻訳に取り掛かる。日本語字幕が付いたら、感想も変わることだろう。
どう変わるか、自分でも楽しみだ。

それにしても、アイシュとリティクの 2 人。『Dhoom 2』(下の写真)とは雰囲気が様変わり。さすが、プロの役者だ。どちらも、演技、うまいよな。


2012年4月23日月曜日

Jodhaa Akbar の日本語字幕 作成開始!

以前から見たいと思っていた 2008年のインド映画『Jodhaa Akbar』(ジョーダ アクバル)の DVD をインド雑貨屋で見付けたので、思わず買ってしまった。


香も買うからと言って、若干値切らせてもらった。レンタル ビデオ屋で、日本語字幕付きを 1 回 300 円くらいでレンタルできるようになるか、格安でネットで見られるようになれば理想的! 日本語字幕だからと言って DVD に 2000円も出す気はないし、ネットは英語字幕しかないし、日本のインド映画視聴環境は最悪だ。これでは、インド映画が流行るわけがない。

付いている字幕は、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語の 6 言語。
当然のことながら、日本語字幕は付いていないので、見てもさっぱり分からん。
これで 800円かよ! 普通なら、そう言うところだが、私の場合、日本語字幕の作成も楽しみの 1 つだから、あえて文句は言わない。

日本語字幕の作成方法


私は、私なりの方法で日本語字幕 DVD を作っている。以下は、その作成方法だ。
  1. DVD の中身をハードディスクにコピーする。
    インド映画の DVD の場合、日本映画やアメリカ映画のような姑息なコピー プロテクトがかかっていないことが多い(今まで、コピー プロテクトがかかっている DVD に出会ったことがない)。買ってきた DVD にも「コピーは個人使用目的だけにしてね!」という意味の英語が書いてある。
    たとえコピー プロテクトがかかっていても、俺は、英語の分からない日本人が英語字幕を自力で日本語に翻訳し、自分一人で鑑賞する目的でコピー(リッピング)するのは、ユーザとしての当然の権利だと考えている。文句があるなら、日本語字幕付き DVD を 800 円で売りやがれ!
     
  2. SubRip という字幕抽出ソフトを使って、英語字幕(srt)を抽出する。
    SubRip は、ハードディスクにコピーした VOB ファイルから字幕を抽出してくれる優れもののソフトだ。
     
  3. VobEdit という VOB ファイル編集ソフトを使って、VOB ファイルから映像ファイル(m2v)、音声ファイル(ac3)、字幕ファイル(sup)を抽出する。
    VOB ファイルは、映像、音声、字幕などが統合されたファイルだ。これをバラして、字幕を入れ替えて再統合すると、日本語字幕付き DVD になる。
     
  4. AviUtl という AVI ファイル編集ソフトを使って、映像ファイルと音声ファイルから AVI ファイルを作成する。
    AVI ファイルを作成するのは、同じ台詞を繰り返し聞いたり、字幕の微妙なタイミングを調整するためである。字幕ファイルを翻訳して入れ替えるだけなら、AVI ファイルを作る必要はない。
    AviUtl に 映像ファイルを読み込むには、MPEG-2 VIDEO VFAPI Plug-In が必要。
    音声ファイルを読み込むには、xrecode II というソフトを使って ac3 ファイルを mp3 に変換し、それを AviUtl に読み込む(DirectShow File Reader プラグインを使用)。
    AviUtil から Xvid で吐き出すとファイル サイズも小さくなり、後の取り扱いがラクチン。

    XMedia Recode というソフトを使って AVI ファイルに変換することもできる。映像を加工しないで、変換だけを行うなら、こちらを使う方が簡単だ。
     
  5. 手順 2 で抽出した字幕ファイル(srt)を、AegiSub という字幕編集ソフトで開く。
    動画ファイルとして、手順 4 で作成した AVI ファイルを読み込む。
    そして、必死で翻訳する。結構楽しいから、やってみな。
    Google の翻訳者ツールキット、まだ一度も使ったことはないが、一度試してみたいと思っている。翻訳メモリや用語集など、プロ用翻訳ツールが使えるかもしれない。
    AegiSub の良いところは、音声波形を見ながら、字幕の表示タイミングを調整できるところ。
    また、英語字幕は 1 回の字幕表示に 2 人分の台詞が表示されたり、台詞の途中で次の字幕に変わったりと、日本語字幕とは異なる台詞の切り方を行っている。これを修正して、完璧な、自分お気に入りの字幕を作成するには、このソフトが欠かせない。
    翻訳が完了したら、ファイル拡張子 srt と指定してファイルを保存する。拡張子を指定しないと、自動的に ASS 形式で保存されるが、拡張子 srt を指定すると、きちんと SRT 形式で保存してくれる。
     
  6. SubtitleCreator というソフトで、翻訳済 SRT ファイルを、SUP 形式に変換する。
    SubtitleCreator も優れもので、単なる中揃えだけでなく、テキストを左揃えにして全体を左右中心に配置するといった日本語字幕特有の行揃えもできる。歌詞は、行を千鳥に配置するなど、日本語字幕らしい世界に類を見ない繊細な行揃えも、やってできないことはないので、重宝している。
    このソフトを使って SUP 形式で字幕ファイルを吐き出す。
     
  7. DVDAuthorGUI というソフトを使って、手順 3 で抽出した映像ファイルと音声ファイル、および手順 6 で作成した翻訳済 SUP ファイルから VOB ファイルを作成(オーサリング)する。
    DVD メニューを追加して、オリジナル DVD を作成することもできる。元の DVD メニューを生かしたい場合は、手順 1 でコピーした VOB ファイルを、ここでできた VOB ファイルに差し替えてやればよい。
ザザッとした流れは以上だ。やってみると、結構面白い。1 本の映画で 1 カ月は楽しめる。