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2013年12月16日月曜日

今年見たインド映画

今年、字幕を翻訳したインド映画は次の 6 本。

原題 邦題 公開 評価 寸評
3 Idiots 3 人のバカ 2009年 A 「きっとうまくいく」のタイトルで日本でも公開された。主人公のランチョーのあまりの良い子ちゃん振りが鼻につくと思うのは俺だけだろうか?
Kahaani ストーリー 2012年 A 失踪した夫を身重の女性が探す第一級のサスペンス映画。どんどん深まる謎が見る者を引き込む。
Plan プラン 2004年 A 田舎から出てきた若者 4 人が金を工面するために誘拐を計画。誘拐した相手はギャングのボスだった。ギャングの格好良さに憧れる若者 4 人組み。面白い娯楽映画だ。
Housefull 2 ハウスフル 2 2012年 C 4 組のカップルと 4 人の父親が 1 つの家に集合。なぜ、こんなことに? 音楽とダンスが素晴らしいコメディー映画。ストーリーは無視して、歌とダンスを楽しもう。
Sholay ショーレイ 1975年 B シナリオもいいし、キャストは最高。アクションも素晴らしいし、音楽もダンスもいい。インド映画の不朽の名作で、記憶に残るシーンが満載の映画だが、どうしても古臭さを感じてしまう。評価を S にしないと、インド映画ファンに怒られるかも。
Guru グル 2007年 A インド最大の財閥を一台で築き上げたグル。ビジネスのためなら、違法行為だろうが何だろうがやってのける。インドの未来は、グルのようなエネルギッシュな企業家にかかっているのだ!!

2 カ月に 1 本。まずまずのペースだ。残念ながら、S 級映画には巡り会えなかったが、面白い映画を 6 本も日本語字幕で見られたんだから、大満足! おっと、Guru はまだ日本語字幕付きを通しで見ていなかった。

さて、上の 6 本を対象に映画賞を贈るとしたら、以下のとおりだ。

最優秀作品賞: Kahaani (カハーニ / ストーリー)
字幕翻訳後の満足感が最高だった。こんな面白い映画は久し振りだ。
ありえないストーリーだが、映画の中にどんどん引き込まれる。
第 1 級のサスペンス映画で、素晴らしいの一言! 来年、Kahaani 2 が出たら、ぜひ見たいものだ。


最優秀監督賞: Ramesh Sippy (ラメーシュ・シッピー)
セルジオ・レオーネ監督作品に似ていると言われようが何と言われようが、Sholay (ショーレイ)のようなインド映画史に残る不朽の名作を作ったんだから、監督賞はこの人で決まり!
 
 

最優秀脚本賞: 3 Idiots (3 人のバカ)
この映画は脚本の勝利といえる。原作の小説「Five Point Someone」は読んでいないが、映画でどの程度アレンジされているのか興味ある。
 

最優秀主演男優賞: Sanjay Dutt (サンジェイ・ダット
Plan (プラン)のギャングのボス、ムーサは、サンジェイ・ダットのはまり役。この人がギャングのボスを演じたら、誰も勝てない。サンジェイ・ダット自身、拳銃不法所持で逮捕されているし、公私共にギャング役はサンジェイ・ダットで決まり。
 

最優秀主演女優賞: Vidya Balan (ビディア・バラン)
Kahaani (カハーニ)の主人公ビディア・バグチは最高。文句なしの最優秀主演女優賞だ。 今年は他に女性が主役の映画を見ていないが、他に女性主役の映画があったとしても、Kahaani のビディア・バランを超えるのは難しいだろう。 

最優秀音楽賞: Housefull 2 (ハウスフル 2)
音楽とダンスだけなら文句なしの S 級映画。 映画を見て損はないけど、期待は禁物。
 

最優秀アクション賞: Sholay (ショーレイ)
インディアンの襲撃を思わせる列車強盗シーン、馬車で逃げるバサンティーとそれを馬で追いかける悪漢ども。どのシーンも超一級のアクションだ。 

最優秀ダンス賞: Hema Malini (ヘマ・マリニ)
Sholay(ショーレイ)のバサンティー役ヘマ・マリニが披露した Haan Jab Tak Hain Jaan (命ある限り)。お前の足が止まったらこの男を殺すと脅されて「命ある限り、私は踊る」と歌いながらの迫真のダンス。記憶に残る素晴らしいダンスシーンだ。これぞ、インド映画!!!


最優秀ソング賞: Mayya (マイヤ)
他のインド映画音楽にはない独特のトルコ情緒を感じさせてくれた Guru の Mayya に決定! 歌っているのはエジプト人歌手 Maryem Toller。


Housefull 2 の Anarkali Disco Chali (アナーカリーはディスコへ行く) も捨て難い。


今年も、たくさんの面白い映画をありがとう。
来年もよろしく!

2013年4月7日日曜日

インド映画 『Kahaani』 (ストーリー) -- その 3

映画「Kahaani」(カハーニ)の冒頭の毒ガス事件。背後にある組織は、不明のまま。映画を最後まで見ても、何も触れられていない。欲求不満に陥ってしまう。
しかし、これは計算されてのこと。何のことはない、「Kahaani 2」が 2014 年に公開という。
これだけ欲求不満に陥ってしまったら、見るしかないじゃないか。

昨今、インド映画は 2 ブームだ。最近公開された主な 2 映画だけでも、Dabangg 2、Housefull 2、Jannat 2、Race 2 といった具合だ。これまでのインド映画では、007 や寅さんなどのように、シリーズ化されたという話をほとんど聞かない。しかし今後は、人気作品のシリーズ化が行われるのではないだろうか。Dabangg や Dhoom などは、シリーズ化の有力候補だ。間もなく、インドの映画界にも 007 や 寅さんが現れることだろう。

さて、Kahaani だが主な登場人物は、次のとおりだ。

ヴィディヤ・バグチ: コルカタでは V も B も同じ発音とのことで、皆はビッダー・バグチと呼ぶ。妊娠でお腹が大きいにもかかわらず、失踪した夫のアルナーブを探しに、ロンドンからコルカタにやって来る。


サットーキ・シンハ (ラナ): コルカタ・カリガット警察署の警官。ヴィディアと一緒にアルナーブを探す。映画では、アルジュナの御者(弓の名手アルジュナの戦車の御者になってアルジュナを守ったクリシュナ)という設定。


アグネス・ディメロ: 国立データセンターの人事局長。アルナーブにそっくりなミラン・ダムジという男が、以前働いていたとヴィディアに話す。ここから、アルナーブの失踪事件は、意外な方向に展開する。


ラシク・ティヤギ: 国立データセンターのシステム管理者。一目、悪いやつ。


ボブ・ビスワス: 保険会社の営業職員。一般市民に紛れて、こういう男がいるかも。


A・カーン: インド情報部副局長。事件捜査のために、ニューデリーからコルカタ・カリガット警察署に乗り込んでくる。妊婦の前でタバコをプカプカ吸うような非礼な男。悪いやつではなさそうだが。
 
 
バースカラン・K: インド情報部局長。カーンの上司。どう見てもワル顔。


キャプテン・プラタップ・バジパイ: インド情報部退役将校。何者だよ、こいつ。


アループ・バス: インド情報部諜報員。


 
正直、面白い映画なので、機会があればぜひ見て欲しい。
日本語字幕は、ここに放り込んでおいたので、興味ある人は自由(個人利用、非営利目的に限る)にどうぞ。
 


2013年4月5日金曜日

Ekla Cholo Re (1 人で歩め) -- Kahaani (2012)

映画「Kahaani」(カハーニ) の最後近くで流れる印象的な曲 「Ekla Cholo Re」(エクラ チョロ レ:  1 人で歩め)。歌っているのは、アミタブ・バッチャン。


最初、歌詞の意味はわからなかったが、なぜか心に深く響く良い曲だと感じた。 そこで調べてみると、以下 WIKIPEDIA の「Ekla Chalo Re」の受け売りなのだが、この曲を作ったのは、アジア人初のノーベル賞(文学賞)を受賞したラビンドラナート・タゴール。

詩人で小説家で思想家で音楽家で画家という、スーパー マルチ人間だ。インド国家も、バングラディッシュ国家も、この人の作詞作曲なんだとさ。すごい!

タゴールは、ベンガル・コルカタの人。「Kahaani」(カハーニ)の舞台となったコルカタだ。インド独立の父、ガンジーとの親交も深く、ガンジーはタゴールから多くを学ぶとともに、この曲「Ekla Cholo Re」に強く影響されたとのことだ。

元の歌詞はベンガル語。それを、タゴール自身が英訳している。ノーベル文学賞受賞者の詩を勝手に日本語に訳すなど恐れ多いことだが、少しでもその意味を知りたいので、あえて恥満願覚悟で訳してみた。

よりオリジナルに近いかもしれない動画があったので、下に貼り付けておく。素朴で、いい雰囲気だ。ガンジーが聞いたメロディーは、こんなのだったかも。
 


Jodi tor daak shune keu naa se tobe ekla cholo re
じょでぃ とる だ~く しゅね けう な~ あ~しぇ とべ えくら ちょろ~ れ
If they answer not to thy call, walk alone
誰 1 人耳を貸さなければ  1 人で歩め

Tobe ekla cholo, ekla cholo, ekla cholo, ekla cholo re
とべ えくら ちょろ えくら ちょろ えくら ちょろ えくら ちょろ れ~
Walik alone Walik alone Walik alone Walik alone
1  人で歩め 1 人で歩め 1 人で歩め


Jodi keu kothaa naa koye, ore ore o abhaagaa, keu kothaa na koye
じょでぃ けう こさ な~ か~ おれ お~れ お~ あば~が けう こさ な~ か~い
If they are afraid and cower mutely facing the wall,
皆が困難を恐れて 立ちすくむなら

Jodi shobai thaake mukh phiraaye shobai kore bhoye
じょで しょばい かけ~ まっ ぺらい~ しょばい これ~ ぼ~い
O thou unlucky one,
明るい未来は やってこない

Tobe poraan khule o tui mukh phute tor moner kothaa, eklaa bolo re
とべ ぱら~ん くる~ お とぅい もっく ぺ~ とる もね~ かは~ えくら ぼろ~ れ
open thy mind and speak out alone.
心を開いて 1 人で訴えろ


Jodi shobai phire jaaye, ore ore o abhaagaa, shobai phire jaaye
じょでぃ しょばい ぴり~ じゃ~い おれ お~れ~ お~ あが~ しょばい ぴり~ じゃ~い
If they turn away, and desert you when crossing the wilderness,
荒野を進んでいるときに 皆が背を向けるなら

Jodi gohan pothe jaabaar kaale keu phir naa chaaye
じょで がはね ぽし~ じゃ~ばる か~れ ぴっしれ な~ ちゃ~い
O thou unlucky one,
明るい未来は やってこない

Tobe pothera kaantaa o tui rokto maakhaa choronatole eklaa dolo re
とべ ぽけら か~た~ お つい ろっこ ま~か ちょろなと~れ えくら どろ~ れ
trample the thorns under thy tread, and along the blood-lined track travel alone.
棘を踏み 己の血で道を示すのだ   


Jodi aalo naa dhore, ore ore o abhaagaa, aalo na dhore
じょでぃ あ~ろ な~ たで~  おれ お~れ お~ あが~ あろ~ な~ たで~
If they do not hold up the light when the night is troubled with storm,
嵐の夜に光をかざさないなら

Jodi jhor-baadole aadhaara raate duyaar deye ghore
じょでぃ ちょばどれ~ あだる らで~ じょわる だい ごれ~
O thou unlucky one,
明るい未来は やってこない

Tobe bajraanole aapon buker paajor jaaliye niye ekalaa jolo re
とべ ばっじゃのれ~ あぽね ぶっける ぱ~じゃる  じゃねる に~え えから じょろ~ れ~
with the thunder flame of pain ignite thy own heart, and let it burn alone.
痛みの稲妻で心に火をつけ 人々を照らせ一人で燃えよ


タゴール先生、ベンガルの魂の歌なのに、意味取り違えてたら御免なさい。
日本語訳、気に入らなければ、夢枕に立って教えてください!

2013年4月4日木曜日

インド映画 『Kahaani』 (ストーリー) -- その 2

訳し終えた。最後まで見た。良かった。面白かった。
公開したら、日本でもきっとヒットする!
宣伝さえすれば、大ヒット間違いなし。そんな映画だ。

最後まで見て、なるほど、これがインドの心なんだと思った。
物語は、ベンガル地方でとりわけ盛大に行われる祭り、ドルガ・プージャと時期を重ねるように進む。ストーリーと祭りとは、直接の関係はないが、両者が最後に結合する。
そう来るか。なるほど、、、
映画の最後に、アミタブ・バッチャンの重厚なナレーションが流れる。

時には、神も間違いを犯す。
神は悪魔を作り、力を授けた。
悪魔の力が強大になり過ぎると、神は女神ドルガーを作った。悪魔を倒すために。
女神ドルガーは、すべての母親の強さを集めて作られたと言われている。
毎年、女神は自ら姿を現し、我々に恵みを与える。
悪を滅ぼし、帰っていく。
そのおかげで我々は、何の恐れもなく、平和に暮らすことができる。

この親父、やはり、映画の一番おいしいところを持っていく。
そうなのだ、この映画は、そういうことだったのだ。
やはり、インド映画だったのだ。しかし、それに気が付くのは、映画が終わる直前。

もう一度、見直したいと思わせる映画だ。
この映画なら、ストーリーを知った上で見ても、十分に耐えられるだろうと思う。

この映画のはじめの方に、次のせりふがある。

サットーキ、アルジュナの御者

サットーキというのは、警官ラナの本名。ヴェディヤをホテルまで送っていったのがきっかけで、ヴィディヤと行動を共にするようになる。
アルジュナの御者とは、マハーバーラタに出てくるエピソードで、弓の名手アルジュナの戦車(馬車)の御者になってアルジュナを守ったクリシュナのこと。
これも、映画を見終わって、アルジュナとクリシュナ、なるほどと納得できる。

この映画の邦題は 「物語」 とされることが多い。最初は、それで問題ないと思っていた。
ヒンディー語の辞書を調べると、Kahaani = Story だ。
しかし、最後まで見て思うこと。「物語」は、違うんでねえの?
つまり、Story ≠ 物語。
個人的には、この映画の邦題は 「ストーリー」としたい。賛成してもらえるだろうか。

もう一度、通しで見たい。見直したら、また新しい発見ができるかもしれない。

2013年4月2日火曜日

インド映画 『Kahaani』 (ストーリー) -- その 1

インド人が出演していて、舞台がコルカタなのでインド映画には違いないが、2012 年公開の「Kahaani」(カハーニ: 物語ストーリー)という映画、出演者と舞台を変えれば、世界標準の映画そのもの。歌もダンスもない、ストーリー重視の映画だ。 ←  最後まで見た。紛れもないインド映画だ。出演者と舞台を変えたら、この映画の良さが消えてしまう。

通常は、英語字幕でざっくりと見て、内容が面白ければ字幕の翻訳に取り掛かる。しかし、この映画はサスペンス映画なので、内容がよくわからないのに結論を見てはもったいない。そう思って、翻訳しながら徐々に見ることにした。

この映画、とにかく面白い。最初の 30 分でグングン引き込まれてしまう。
冒頭のシーン、地下鉄内で毒ガスが散布されるという事件が発生し、死者 100 人を越す大惨事となる。その 2 年後、1 人の妊婦、ヴィディヤ バグチがコルカタの空港に降り立つ。突然失踪した夫を探しに、ロンドンから来たのだ。

彼女は、警察署におもむき、夫の捜査を依頼する。
彼女は夫とロンドンに住んでいた。彼女の夫は国立データ センターの依頼で 2 週間、コルカタで働くことになった。2 週間、毎日ヴィディヤに電話があった。しかし、その後、プッツリと連絡が途絶えてしまい、そのまま行方不明になってしまったという。

警察官のラナは、彼女をホテルまで送ることになる。夫が宿泊していたというホテルに行くが、着いたホテルは簡易ホテル。ロンドンから仕事で来て宿泊するには、極めて不自然なホテルだった。
ホテルで早速、夫が宿泊したかどうかを調べるが、夫が宿泊したという記録がない。ホテルの責任者も、宿泊していないと言う。

と、まあ、こんな出だしだ。その後、グイグイと話しに引き込んでいく。
夫の失踪の裏には、夫とそっくりなミランという男がかかわっているようだ。
ミランを見つけ出せば、夫も見つかる。そう信じて、ヴィディヤとラナは、ミランに迫るが、情報をくれた関係者が次々と殺害される。

あまりの面白さに夢中で翻訳した結果、約 80 %翻訳完了。
まだ、どんな結論が待っているのかわからないが、今の評価は S か A。

早く続きを見たいので、今日はここで終わり。