2012年9月27日木曜日

インド映画『Baabarr』(バーバル) -- その 3

「Baabarr」(バーバル)の字幕の翻訳がザッと終わって思うこと。
ただ一言。 残念!

タイトルが表示されるまでの最初の 20 分は、素晴らしい出来栄えだ。
特に、12 歳の少年バーバルが、初めて人を撃ち殺すシーンは衝撃的だ。
これから、どんな物語が展開するのかとワクワクする。

しかし、その後は、大人になったバーバルと、宿敵タブレーツとの抗争ばかり。
何のことはない、ごく普通のギャング映画だ。

普通のギャング映画なら、「仁義なき戦い」のほうが 10 倍面白い。

終わりの方に、政治家がチョロッと出てきたり、正当防衛を偽装して犯人を銃殺してしまうという警察の不法行為(フェイク エンカウンター)に対する問題提起がある。しかし、この映画のテーマだったはずの「貧困と犯罪」や「警察や政治家の腐敗」に対する掘り下げが、ほとんどなかったのは残念だ。

ギャングの抗争はそれなりに面白いが、焦点がボケた映画になってしまったのは否めない。
現時点では、S、A、B、C、D、E の 6 段階評価で B 。
大外れではないが、期待はずれだ。

インド映画は、何度も繰り返し見て楽しめる映画が多いが、「Baabarr」(バーバル)は、一度見たら十分という気がする。

最初に、このような映画評を読んでから見れば、印象も変わっていたように思う。
過剰な期待は禁物ということだ。

2012年9月24日月曜日

インド映画『Baabarr』(バーバル) -- その 2

12 歳で人を殺してしまったバーバルは裏社会の道を歩き始め、10 年後にはウッタル プラディッシュ州を代表するギャングに成長する。

映画が始まって、ここまで 20 分。ようやく映画のタイトルが表示される。


この映画の主な登場人物

★ バーバルの味方 ★

バーバル: この映画の主人公。6 人兄弟の末っ子。
怖いもの知らずの激情型。
金持ちに電話をかけ、用心棒代をせしめる。拒否すれば、誰であろうが容赦なく殺してしまう。極めて凶暴な性格。
貧困が生み出した犯罪者として描かれている。
ナワーズ: バーバルの兄。多分、5 男だと思う(自信なし)。
一家のボスとして、皆に慕われている。
バーバルよりも冷静沈着だが、タブレーツによるバーバル暗殺未遂事件以降、タブレーツとの仁義なき抗争を指導する。怒りに任せて、タブレーツの仲間や、バーバルの暗殺未遂に加担した連中を殺しまくる。
マムー: 地域の顔役。警察とも通じている。
特に、チャトルバティ警部とはズブスブの関係。
ジアー: マムーの姪。バーバルの幼馴染で、バーバルの愛人。
アフリーン: バーバルの幼馴染。バーバルが警察に勾留されているときに、バーバルと結婚する。カルカッタに住んでいて、警察に追われたバーバルをかくまう。
(バーバルの妻なのに、なぜカルカッタに住んでいる?
まさか、俺が何か誤解している?)

★ バーバルの敵 ★

タブレーツ: バーバルに敵対するギャング。バーバルと、血で血を洗う抗争を繰り広げる。
バーバル同様、どうしようもないワルで暴力しか知らない。

★ 警 察 ★

ディベジー: 銃撃戦のスペシャリスト。バーバルの兄の 1 人バッリーを銃撃戦で殺害して、警視に昇進した。
この映画で唯一、正義感にあふれた人物。
バーバルとタブレーツを、刑務所か地獄に送ることが自分の使命だと考えている。
チャトルバディー: マムーをはじめ、地域の犯罪組織と通じる悪徳警官。ギャングに銃弾を横流しして金を得るなど、こいつもワルだ。
人を平気で裏切る。

バーバルと、その宿敵タブレーツとの抗争を軸に、物語が展開する。

(続く)


2012年9月23日日曜日

インド映画『Baabarr』(バーバル) -- その 1

少し涼しくなってよかった。
Baabarr (バーバル)の字幕の翻訳を開始した。

映画は、次のナレーションから始まる。

急速に進歩する世界の中に、もう 1 つの世界がある!
犯罪の世界

そこでは、銃が合理的で自然な選択だ
我々の社会が危惧する世界...

...汚職がはびこり...
...政治家は人々を搾取する...
...そして正直者が虐げられる!
不幸なことだが 現実だ !!!

これが、この映画のテーマだ。
そして、別のナレーションが続く。

インド最大の州、ウッタルプラデーシュ
インドで最も人口が多いこの州では、何もかもが過剰だ
ここには 多数の金持ちと、多数の貧乏人がいる
ここには 多数の善人と、多数の悪人がいる
この州では白昼の犯罪など日常茶飯
ここにある唯一のルール、それは弱肉強食だ

政治は ここで生まれた

ここの どの街にも特色がある
工場の街、革製品の街、靴の街、
財布の街 食器の街 子供の玩具の街
そして大人の銃も
素人やプロの犯罪者、強盗、殺し屋、
盗賊などの銃の匂いを注意深く嗅いでみると良い
この街の匂いがすることだろう

そんな街の 1 つがアマンガンジ
キンマの葉やタバコのヤニ、壁に撒き散らされた小便
それらが、ここの文化を物語っている
どの家にも、椅子より多くの銃がある
弾が多いほど人は凶暴になる

120 万の票田
どの政党も、ここに関わりたいとは思わない

誰もが幸せだ
すべてが組織だと誰もが思っている
男は自分の組織を作る
それは男にとって至福のとき
この街の工場が作るのは、製品ではなく、犯罪者である

バーバルは、ウッタル・プラデーシュ州アマンガンジの貧民街で生まれ育った。
6 人兄弟の末っ子だ。
家業は肉屋。
インドでは、肉屋は汚らわしい職業とされており、最下層のダリット(不可触民)に位置付けられる。宗教はヒンズー教ではなく、イスラム教だ。


長男のサルフラーズがつまらない喧嘩で人を殺してしまい、その後、バーバルの兄たちは銃の密造を始める。銃は、12 歳のバーバルにとって、身近な存在となった。

そんなある日、子供同士の喧嘩で侮辱されたバーバルは、レンガで相手の頭を殴って怪我をさせてしまう。
怒鳴りこんでくる父親。バーバルをかばう他の兄弟。
喧嘩は、地元の顔役マムーが仲裁することになるが、少し目を離したスキに銃が発砲される。
再び乱闘が始まり、バーバルの兄に銃口が向けられたそのとき、1 発の銃声がして相手が倒れた。
銃を撃ったのは 12 歳のバーバルだった。


すまない。飲みながら書いてたら、酔いがまわってきた。
続きは後日。

2012年9月18日火曜日

インド映画『Baabarr』(バーバル) -- 予告

1 週間以上、ほとんど何もしなかった。

本は少し読んだ、仕事も少しした、
しかし、映画も見ず、テレビもほとんど見ず、
あまりの残暑の厳しさに、ひたすらのびていた。

インドはもっと暑いのだろうか?
そんなことを思いながら。

今日、久々に 2009年公開の「Baabarr」(バーバル)を見た。英語字幕だ。
以前にも見たような気がしていたが、今回見たら印象がまったく違った。


どういう訳か、この映画に歌や踊りは存在しないと思い込んでいた。
ありました。歌も踊りもありました。

日本人の多くは、インド映画の歌と踊りが気に入らないようだ。
ストーリーだけを追いかけたい人が多いようだ。
歌や踊りが入ると、集中力が途切れて嫌なんだそうだ。

歌や踊りがいいんじゃないか、
それがインド映画の魅力なんだ。
これまで、そう思ってきた。

しかし、「Baabarr」(バーバル)を見て、その思いが変わった。
この映画に踊りはいらない。
完全に邪魔だ。
この映画の踊りのシーンは、そういう気分にさせる。

この映画は、貧民街で育った子供がギャングに成長し、警察や政治家に利用され、最後には卑怯な手段で殺されてしまうという映画だ。インド社会の暗部を描き出した社会派の映画だ。
仁義なき戦いを彷彿とさせるような残酷なシーンが続く。

 
すっかりストーリーに夢中になっているところに、歌と踊りが入る。


結婚式のアトラクションの場面だから、歌と踊りが入ってもいいんだろうけど、集中が途切れるなんてものじゃない。
深刻なシーンの間のこの 4 分。  耐えられない!
早く話しを進めてくれ!!!!!
う~む、やはり日本人とインド人の間には、大きな感覚の違いがあるようだ。

歌と踊りさえなければ、ムチャ秀作なのに、、、そう思う。

人を平気で殺しまくるシーンが連続するので、好き嫌いが別れる映画だろう。
以前から訳してみたいと思っていた映画の 1 つだ。
これから涼しくなるだろうから、そろそろ翻訳でも再開するか。

2012年9月6日木曜日

インド映画『Delhi Belly』(デリ ベリー) -- その 6

相変わらず、Delhi Belly ?
そう、今も Delhi Belly。

どこがそんなに面白い?
あらゆるカット、あらゆるシーン、あらゆる台詞、すべてが面白い!

3 人のルーム メイトの中でも、特にニティンが面白い。

家主のマニッシュの浮気現場をカメラに収めて、それをネタに脅して家賃をタダにしてもらおうとするニティン。以下は、タシとアループに、マニッシュの浮気の写真を見せているところ。


How'd you get these?
(こんなもの、どうやって手に入れた)

No, that's the wrong question. 
(質問が違う)
The right question is, are we going to pay rent anymore?
(聞くならこうだ。これ以上、家賃を払うのか?)
And the answer is?
(そして、答えは?)
No. No more rent. No more fucking rent.
(なしだ。 家賃はなし。これ以上、家賃はなしだ)

What are you talking about?
(何を言ってる?)

I'm talking about a small business transaction with our landlord.
(家主との、ちょっとした交渉の話しだ)
He gives us some money and these pictures don't get to his wife.
(彼は我々に少しばかり払う。そして、この写真が奥さんに渡ることはない)

You're going to blackmail him?
(彼を脅迫するのか?)

It's not blackmail. It's a sign, from God.
(脅迫じゃない。これは神のお告げだ)

Oh, you're going to blackmail him.
(やはり脅迫するつもりだ)
We're living with a criminal. lt's Nitin Sobhraj.
(我々は犯罪者と暮らしている。その名は、ニティン・ソーブラージ)

I'm just the higher moral authority in Manish's life -
(俺は、マニッシュに道徳を教えてやるだけだ)

You're the higher moral authority in his life?
(お前が道徳を教えるだと?)

Yes, yes, and I'm asking him to mend his evil ways -
(そのとおり。俺は彼を悪の道から救い出す)
- l'm not a benevolent god.
(しかし、俺は情け深い神ではない)

Don't tell me anymore, right -
(それ以上、言うな。いいか-)
- because when the cops come to get you ,
(警察がお前を捕まえに来ても、)
I don't want to be dragged in as an accessory.
(俺は共犯として巻き込まれるのは嫌だからな)

An accessory? Listen to him using big words.
(共犯だと? 聞いたか、何を大げさな)
An earring is an accessory, you choot -
(何が共犯だ、バカめが)
注: ここでは「共犯」と訳しているが、英語では「アクセサリー」と言っている。このため、この台詞を直訳すると「アクセサリーとは、イヤリングだ。バカめが」となる。 洒落た面白い台詞の 1 つだ。
- listen I've been in this business for two years, nobody gets -
(いいか、俺はこの仕事を 2 年間やっているが、捕まったことはない)

I'm sorry, you've been in this business for two years?
(何だって、お前、こんなことを 2 年もやっているのか?)

落ちがついたところで、ニティンのテーマ ソング「Bedardi Raja」(ベーダルディー ラージャ)。


デリーのゴミゴミした、雑然とした街の様子が浮かんでくるような名曲だ。しかし、歌詞の英訳を探してみたが、見つからない。こんな良い曲の歌詞の英訳が見つからないのは、極めて珍しい。意図的に公開していないのだろうか? これでは、何を歌っているのか、分からんではないか!