2013年12月16日月曜日

今年見たインド映画

今年、字幕を翻訳したインド映画は次の 6 本。

原題 邦題 公開 評価 寸評
3 Idiots 3 人のバカ 2009年 A 「きっとうまくいく」のタイトルで日本でも公開された。主人公のランチョーのあまりの良い子ちゃん振りが鼻につくと思うのは俺だけだろうか?
Kahaani ストーリー 2012年 A 失踪した夫を身重の女性が探す第一級のサスペンス映画。どんどん深まる謎が見る者を引き込む。
Plan プラン 2004年 A 田舎から出てきた若者 4 人が金を工面するために誘拐を計画。誘拐した相手はギャングのボスだった。ギャングの格好良さに憧れる若者 4 人組み。面白い娯楽映画だ。
Housefull 2 ハウスフル 2 2012年 C 4 組のカップルと 4 人の父親が 1 つの家に集合。なぜ、こんなことに? 音楽とダンスが素晴らしいコメディー映画。ストーリーは無視して、歌とダンスを楽しもう。
Sholay ショーレイ 1975年 B シナリオもいいし、キャストは最高。アクションも素晴らしいし、音楽もダンスもいい。インド映画の不朽の名作で、記憶に残るシーンが満載の映画だが、どうしても古臭さを感じてしまう。評価を S にしないと、インド映画ファンに怒られるかも。
Guru グル 2007年 A インド最大の財閥を一台で築き上げたグル。ビジネスのためなら、違法行為だろうが何だろうがやってのける。インドの未来は、グルのようなエネルギッシュな企業家にかかっているのだ!!

2 カ月に 1 本。まずまずのペースだ。残念ながら、S 級映画には巡り会えなかったが、面白い映画を 6 本も日本語字幕で見られたんだから、大満足! おっと、Guru はまだ日本語字幕付きを通しで見ていなかった。

さて、上の 6 本を対象に映画賞を贈るとしたら、以下のとおりだ。

最優秀作品賞: Kahaani (カハーニ / ストーリー)
字幕翻訳後の満足感が最高だった。こんな面白い映画は久し振りだ。
ありえないストーリーだが、映画の中にどんどん引き込まれる。
第 1 級のサスペンス映画で、素晴らしいの一言! 来年、Kahaani 2 が出たら、ぜひ見たいものだ。


最優秀監督賞: Ramesh Sippy (ラメーシュ・シッピー)
セルジオ・レオーネ監督作品に似ていると言われようが何と言われようが、Sholay (ショーレイ)のようなインド映画史に残る不朽の名作を作ったんだから、監督賞はこの人で決まり!
 
 

最優秀脚本賞: 3 Idiots (3 人のバカ)
この映画は脚本の勝利といえる。原作の小説「Five Point Someone」は読んでいないが、映画でどの程度アレンジされているのか興味ある。
 

最優秀主演男優賞: Sanjay Dutt (サンジェイ・ダット
Plan (プラン)のギャングのボス、ムーサは、サンジェイ・ダットのはまり役。この人がギャングのボスを演じたら、誰も勝てない。サンジェイ・ダット自身、拳銃不法所持で逮捕されているし、公私共にギャング役はサンジェイ・ダットで決まり。
 

最優秀主演女優賞: Vidya Balan (ビディア・バラン)
Kahaani (カハーニ)の主人公ビディア・バグチは最高。文句なしの最優秀主演女優賞だ。 今年は他に女性が主役の映画を見ていないが、他に女性主役の映画があったとしても、Kahaani のビディア・バランを超えるのは難しいだろう。 

最優秀音楽賞: Housefull 2 (ハウスフル 2)
音楽とダンスだけなら文句なしの S 級映画。 映画を見て損はないけど、期待は禁物。
 

最優秀アクション賞: Sholay (ショーレイ)
インディアンの襲撃を思わせる列車強盗シーン、馬車で逃げるバサンティーとそれを馬で追いかける悪漢ども。どのシーンも超一級のアクションだ。 

最優秀ダンス賞: Hema Malini (ヘマ・マリニ)
Sholay(ショーレイ)のバサンティー役ヘマ・マリニが披露した Haan Jab Tak Hain Jaan (命ある限り)。お前の足が止まったらこの男を殺すと脅されて「命ある限り、私は踊る」と歌いながらの迫真のダンス。記憶に残る素晴らしいダンスシーンだ。これぞ、インド映画!!!


最優秀ソング賞: Mayya (マイヤ)
他のインド映画音楽にはない独特のトルコ情緒を感じさせてくれた Guru の Mayya に決定! 歌っているのはエジプト人歌手 Maryem Toller。


Housefull 2 の Anarkali Disco Chali (アナーカリーはディスコへ行く) も捨て難い。


今年も、たくさんの面白い映画をありがとう。
来年もよろしく!

2013年12月14日土曜日

インド映画 『Guru』 (グル)-- その 6

1980 年 10 月 16 日、シャクティー社に対する疑惑を調査するターパル委員会の最終公聴会が開催され、グルはスジャータと共にその公聴会に赴く。

グルがイダル村を出て、トルコのイスタンブールに渡ったのが 1951 年。
それから 30 年弱。 仮に 1951 年当時 15 歳だったとすると、公聴会に出席したのが 44 歳。スジャータはグルの友人の姉なので、2 つ年上とすれば 46 歳。
それにしては、少し老けすぎメイクと思うのだが。


そうでもないか、こんなものか?
まあ、いいか。 で、公聴会だよな。

ターパル委員会の委員長が、公聴会の冒頭で英語で話すのだが、それを聞いてグルがスジャータに耳打ち。スジャータがグルの言葉を伝えるために発言する。
「今 おっしゃったことを、もう一度ヒンディー語でお願いできないでしょうか? 私たちは田舎者です。 英語は苦手です」
「私は両方話せます。どちらでもかまいません」
「あなたは、私たちの命を奪うこともできます。同じ命を奪われるのなら、ヒンディー語でお願いします」
「それはあなたの答えですか、それとも彼?」
「彼の答えです。 私の声ですが...」

別の委員がグルに尋ねる。
「あなたの妻は、シャクティーの従業員ですか、役員ですか、取締役ですか?」
グルは、首を横に振る。
委員長が言う。「そうでなければ、退席してください」
グルがスジャータに耳打ちする。

それを聞いたスジャータがグルの顔を見る。
我が意を得たりという表情を浮かべるスジャータ。

アイシュワリヤーは、台詞のないところで素晴らしい演技をする。
このシーンもそうだ。

「私は、シャクティーのオーナーです。 創業者で、持株会社の 50 パーセントの株を所有しています」
「それがどういうことか 分かりますか?」と委員長。
「あなたも一緒に、刑務所に行くことになりますよ」
それにスジャータが答える。
「私たちは、対等のパートナーです。 どこへ行くにしろ、一緒に行きます」

シーン変わって、病状が悪化したメヌーを見舞うグルとスジャータ。
人工呼吸器を着けて苦しそうなメヌー。バックに流れる曲は「Shauk hai」(私は好き)。


再び、公聴会に戻る。委員の質問、それに答えるシャクティー側の弁護士。
そして、委員長がグルに向かって言う。
「反論はありますか? 本日の、この公聴会はカメラのみです。お分かりですね? 非公開です。明日は マスコミと市民に公開されます。今日、すべての申し立てを認めた方が、良いのではありませんか。言いたいことがあれば、今、ここで言ってください」

「1 つ言いたいことがあります」とグル。
皆が何を言うのかと待っていると、グルは一言、「ナマステ」。

"ナマステ" って、「こんにちは」 と 「さようなら」、どちらも意味もある。
ちなみに、英語字幕は Greetings。 日本語に訳すと「どうも」。
この場合は「さようなら」、少しひねって「ごきげんよう」かな?
それを聞いたアイシュの含み笑い。 いいね~!
スジャータの気持ちが伝わってくる。

そして、メヌーの火葬シーン。


グル、スジャータ、メヌーの祖父であるマニーク、メヌーの夫のサクセナはいるが、メヌーの両親がいない。このあたり、もう少し説明がほしい。一体、グル、スジャータ、マニーク、メヌーの関係は、どうなっているんだ。

それと、日本の火葬って窯で焼くけど、インドのヒンズー教徒は今でも上の写真みたいに薪を積んで焼くんだって。

シーンが変わって公聴会の 2 日目。
グルが建物に入っていこうとすると、1 人の男性がグルに声を掛ける。
「シャクティーの株のお陰で、3 人の娘を結婚させることができました。ありがとうございました。私はあなたの味方です」
その声に勇気をもらったグルは、公開公聴会に臨む。

グルに許された発言時間は 5 分。
ここから、グルの圧巻の大演説が始まる。 この映画の核心だ。
グルは、マスコミや一般市民を前に、次のように主張する。

「私が商売を始めようとしたとき、商売の扉は閉じていた。
金持ちにしか開かないその扉を作ったのは政府だ。
その扉を開けるために、賄賂を贈り、敵を攻撃した。
金が必要なときは金を作った。 しかし、自分のためではない。
300 万人の株主のためだ」

グルは、「我々の国が未来永劫、発展途上国でよいのか」と訴える。
「それとも、私が給油係でいたほうがよかったのか」

そして、委員会の委員に向かって言う。
「あなた方にも、あなた方の法にも、国の前進を止めることはできない。
あなた方は 国の前進に、どのような異を唱えるのか?
国の前進を止めることができるのか? 答えていただきたい!」

それを聞いていた市民から拍手が起こる。
明らかに議論のすり替えだが、これで世論の支持はグルに傾く。

「これではグルを吊るせない」と委員会の委員。
「彼は、天才か、ならず者か?」
「その両方だ」

この結果、29 件の申し立てのうち 2 件について有罪とされ、罰金刑が言い渡される。
予想外の軽い処分だった。

こうして、シャクティーは復活を果たす。
インド最大の企業に成長したシャクティーは、世界最大の企業へと、新たな成長を開始するのであった。

最後に、脳梗塞で倒れて右半身麻痺だったはずなのに、聴衆を前に高々と右手を挙げる不死身のグル。リハビリの様子を映すとか、せめて左手を挙げろよ! まさか、右半身麻痺というのも、世論を味方につけるためのグルの策略だったのか。


うん、なかなか面白い映画だ。
ビジネスの世界では、正義も悪もない。
その中で、力強く生き抜いてきたグルには共感が持てる。

ただし、細部をもう少し丁寧に描いてくれていたら、さらによかった。
2 時間 40 分では描ききれなかったのだろうが、このテーマなら、大河ドラマにしても面白いのではないか。グルが、どのような少年時代を過ごし、イスタンブール時代に何があったのか、もっと詳しく知りたい。

最大の謎は、スワタントラ サマチャール新聞のオーナー、マニーク。
孫のメヌーがいて、メヌーの両親がいないのはなぜ?
マニーク、メヌーと、グル、スジャータが、なぜ家族ぐるみの付き合いをしている?
このあたりも、しっかりと描いてほしかった。

そして、グルの不正行為。何をやったのか、なぜやったのか。
会社の役員たちは、そのとき、どうしていたのか。
企業倫理を、どう考えているのか。
この点の描き方が非常に弱い。というか、ほとんど描かれていない。

悪を叩くためなら、新聞がでっち上げ記事を掲載しても良いのか。
日本のマスコミの小沢叩きも、似たような構図だったのではないかと疑ってしまう。

とは言え、それらを割り引いても、この映画の俺の評価は A。

2013年12月12日木曜日

インド映画 『Guru』 (グル)-- その 5

マニークの新聞「スワタントラ サマチャール」がシャクティーの脱税スキャンダルを報じたため、シャクティーの株は暴落。金を返せと叫ぶ大勢の株主を前に、グルは説得を試みる。

「新聞が、なぜ我々を攻撃するのか。我々が庶民で中産階級だからだ。
既存の大金持ちどもは、これを許さない。
我々は、自分たちの手で自分たちの運命を切り開こうとしている。
奴らは それが気に入らないのだ」
 
「それは分かった」と株主の一人。
「しかし、これにはどう答えるんだ?」と新聞を振りかざす。
「お前は密輸業者だ!」
「お前は泥棒だ。俺たちを巻き添えにした!」
「俺たちの金を返せ!」
「お前は泥棒だ! 高級スーツを着て、ベンツに乗ってるじゃないか」
 
「くたばれ、グル!」の大合唱に、グルは言葉をなくす。
 
資産をなくしたグルは、スジャータと 2 人、小さな部屋に引っ越す。
思い出すのは、楽しかったあの頃。
グルは、よく財布を忘れた。急いで取りに戻ると、スジャータが財布を持って立っている。
「返してあげない」とスジャータ。
財布を取ろうとして 2 人でベッドに倒れ込み、そのまま 2 人で戯れる。
 
何とうらやましい。俺のアイシュワリヤーとベッドで戯れるなんて!
ましてや、アビシェーク・バッチャンとアイシュワリヤーは実生活でも夫婦。
許せん!

若い頃の回想シーンが終わると、今のグルとスジャータ。
「俺がどう見える? 泥棒や密輸業者に見えるか?」とグル。
そして、ブランコ。いつの間にか、家の中にブランコ。

インド人って、ブランコ好きなんだよな。
そういえば、Sholay(ショーレイ)でもブランコに乗って料理の材料を切ってる場面があった。


で、こちらがブランコに 2 人並んで乗るグルとスジャータ。


「あなたは、いつも私を叩く」
「俺がいつ叩いた」
「ほら、こうして」とスジャータは、いたずらっぽくグルを叩く。
しかし、グルは反応しない。
「どうしたの?」
グルは、崩れるように倒れる。脳梗塞だった。

グルが倒れたという情報は、新聞社のマニークにも伝わる。
「我々のせいかもしれません」とサクセナー。
「あなた、私、スワタントラ新聞、皆が彼を追いかけました。
明日も新しい記事が掲載されます。
ストップしましょうか?」
「その記事は真実なのか?」とマニーク。
100%真実だとサクセナーが答えると、マニークは言う。
「それなら刷れ。真実を刷るのに躊躇することはない」

マニークもサクセナーも、仕事上の正義。言葉を変えて言うなら、大人の正義だ。
マニークは、やはりグルが心配とみえて、グルが入院している病院を訪れる。
そんなマニーク向かってスジャータは言う。
「生きてるかどうか、調べに来たの?」
わお、キツ~!
「2 カ月後には、あなたと戦えるよう元気にしてみせます」

グルのベッドの側に、スジャータと 2 人の娘。
2 人の娘が歌う Jaage Hain (遅くまで起きていた)が涙を誘う。


Jaage hain der tak
じゃげ~ へ で~る たっく
Had been awake till late
遅くまで起きていた

Hamein kuchh der sone do
はめ くち で~る そ~ね~ ど~
Let me sleep some more time
もう少し眠らせてくれ

Thodi si raat aur hai
と~り~ し ら~と お~る~ へ~
Little night is left now
夜は まだ少し残っている

Subah to hone do
そば~ と ほ~ね~ ど~
Let the dawn come
夜明けよ来てくれ

Adhe Adhure Khwaab
あで~ あどれ~ くわ~ぶ
Those half fulfilled dreams
半分満たされた夢

Jo pure na ho sake
じょ ぷれ~ な ほ~ さけ~
That couldn't come true
実現できなかった夢

Ek baar phir se neend mein
えく ば~る ぺ~ せ~ に~んど め
Once more in my sleep
この眠りの中でもう一度

Who khwaab bone do
ぼ くわ~ぶ ぼ~ね~ ど~
Let me plant the dreams again
夢を育てよう


そんなところへ、司法省の役人が公聴会への召喚状を持って現れる。
政府によるシャクティーの不正疑惑調査が始まったのだ。
映画もいよいよクライマックス。
このままシャクティーは潰れてしまうのか、それとも、、、、!!!!

 

2013年12月10日火曜日

インド映画 『Guru』 (グル)-- その 4

トイレ休憩の続きから。

グルは株主総会で演説する。
「我々は 自分の金で事業を行っています。
我々自身が投資し、我々自身が利益を得るのです。
私が 初めてボンベイに来てから何年にもなります。
私は 2 枚のシャツとコートしか持っていませんでした。
しかし 今ではインド中の人が、我々の生地を身にまとっています!」

その会場に、グルを叩けと命じられたサクセナーがいる。
サクセナーの隣の席の婦人がサクセナーに言う。
「どれくらい シャクティの株を持ってらっしゃるの?」
「私は新聞記者です」
「グルは魔法使いよ。あの人のこと、良いように書いてね。
グルのような人が 10 人いれば、貧困はなくなるわ」

サクセナーが書いた記事、それはでっち上げ写真を使ったでっち上げ記事。
でっち上げを知るメヌーは、サクセナーに言う。
「輸出時には中身の詰まった箱を見せたけど、実際に送ったのは空箱なのね」
「こうやって奴はポリエステルの輸入許可も手に入れた。利益は 700% だ」とサクセナー。
「あの人は 空箱から利益を得る方法を見つけた!」
「しかし その方法が問題だ。完全に不正行為だ」
「あなたも不正行為よ」
しかし、サクセナーは言う。
「これは真実だ。シャクティーが実際にやったこと。紛れもない事実だ」

目的のためには手段を選ばない。グルもサクセナーも同じだ。
いよいよ、サクセナーの攻撃が始まった!

そんなとき、グルとスジャータの間に子供が生まれる。何と、双子の女の子。
で、流れる曲が「Ek Lo Ek Muft」(1 つ買ったら 1 つ付いてきた)なんだけど、大麻でラリっているような不思議な歌詞で、どう訳したものか、、、悩ましい。


双子、1 人じゃない 2 人
教えてグル、何が起こったの、教えて

一方、サクセナーの攻撃は続く。新聞に、次のような見出しが躍る。

「シャクティー、噓まみれの成長」
「グルが作り出す新たな腐敗」
「シャクティーの新株が高値を更新。しかし、買ったのはグルの関係者」

マニークのところに、子供を連れてスジャータが訪れる。
マニークは言う。

「良かった、女の子で良かった。この子らは 君のようになる。
気が強くて 独立心旺盛。父親がいなくても生きていける。
恐らく私は、君たちの父親を刑務所に送る」
「いつまで戦うの」とスジャータ。
「勝つまでだ」とマニーク。
「この戦いは何なの? 2 人とも、なぜこんなことをしているの?」

何なんだ。マニーク、メヌー、グル、スジャータの関係は!
プライベートでは家族ぐるみの付き合い、しかし男同士は、仕事上の敵同士というわけか。
この映画の最も分かりにくいところ、、、分からんのは俺だけかも、、、

そして、マニークの乗った車に暴徒が石を投げ付けるという事件が起こる。
やらせたのは、グルの部下、トルコ時代の上司で今はグルの石油化学工場の責任者、ガンシャン・ダス。それを知ったグルは、
「やらせたのは、あなたか?」
「何のことだ?」
「分かっているはずだ」
「ちょっと脅しただけだ」
それを聞いたグルは言う。
「あの人は、俺の父親同然だ。父親に危害を加えるなど、あり得ない」
戦っていても、父と子というわけか。まるで、星飛雄馬と星一徹の世界だ。

一方、サクセナーとメヌー。
何だか分からないが、海岸に車を止めて、雨が降ってるというのに車から出ている。
難病に侵されているメヌーは車椅子。


サクセナーは、メヌーが治療法のない中枢性脱髄疾患だということを知っていながら、結婚を申し込む。
、、、で、こうなる。雨の中のラブシーン。2 人ともずぶ濡れ。必然性はほとんどないが、、、


そして、、、サクセナーはガンシャン・ダスから、重要な情報を聞き出す。
シャクティーの石油化学工場の生産設備が、政府に許可された生産量の 2 倍だったのだ。
政府には 2 万 3000 トンの生産設備だと申告しておきながら、倍の生産設備を輸入し、関税をごまかしていたことが明らかになる。
責任を感じたガンシャン・ダスは、手首を切って自殺を図る。

グルは、文句を言いにサクセナーの家に行く。
そこで写真を発見。


2 人の結婚を知ったグル。

「こいつ以外に結婚相手はいなかったのか?」
「でも、この人は良い人よ。この人と喧嘩しに来たの?」
「ああ、一言いってやろうと思ってな。しかし、お前を見たら言えなくなった」

複雑な人間関係がありまして、そうこうしているうちにも新聞はグルを叩きまくり、シャクティーの株は暴落。株主が金を返せと迫る。ここでも効果として雨が使われている。


 「俺たちの金を返せ!」
シャクティー ファミリが生き残れるかどうか。
それは、次回!!!

2013年12月9日月曜日

インド映画 『Guru』 (グル)-- その 3

何とか、年末までに字幕の翻訳を終えたいと思って頑張っている。
今、約 80 %完成したところ。 上映時間で言うと、2 時間を少し過ぎたあたり。
インド映画って、長いんだよな。この映画の上映時間は 2 時間 42 分。

この映画、英語字幕で最後まで見たが、人間関係がよく分からないところがある。
一番分からないのが、グルとメヌーの関係。
この前の続きをまとめながら、分かりにくい部分を補っていきたい。

グルが事務所を開設するところからだよな。
事務所に子供連れの爺さんがやってくる。
「新しく事務所を開くというのに、私を呼ばないのか?」
子供の名はメヌー。

インド人の顔は見分けにくい。
それに、メヌーとグルがあまりに親しい。
グルは、まるで姪に接するように接している。
最初見たとき、この老人はグルの田舎の誰かかと思ってしまった。
しかし、この爺さんは、新聞でアルザーンを叩いてグルを助けたマニーク。

短期間で、グルとマニーク、家族ぐるみの付き合いができたということだろう。

グルはポリエステルを輸入して取引所で売るという商売を始めるが、商品取引がギャンブルだということで、取引所が閉鎖されてしまう。

取引所を閉鎖したのは、石頭の行政官。誰の言うことも聞かないゴリゴリの官僚だ。
取引所のメンバーは、「もう終わりだ」と諦めるが、グルは一計を案じる。

商品のポリエステルを、行政官の家にどんどん運び込む。
驚く行政官に向かってグルは言う。
「私は あなたが閉鎖した市場で、ポリエステルを商っていました。
今となっては、すべて あなたの物です。
これは最高級のポリエステルです。子供たちの服を作ってください。
スーツを作ってください、きっと似合います。それでは...」と、グルは帰ってしまう。
 
山ほどの荷物を家に運び込まれて困ったのは行政官。
他の業者も、自分と同じように商品を運び込むかもしれないと脅されて、取引市場の閉鎖を撤回!!
 
「やったぞ、グル!」
「すごい奴だ」
グルは、すっかり取引市場の英雄だ。
 
マニークのところにやってきたグル。
マニークにプレゼントするが、マニークに「私を買収するのか」と言われる。
グルは答える。
「僕は握手の方法も知らないし、英語でありがとうも言えない。だから...」
 
グルは、田舎者で英語も話せないという設定だ。
しかし、これは嘘。英語が話せなければ貿易の仕事はできない。
映画では描かれていないが、貿易商を目指すグルはイスタンブールで必死に英語の勉強をしたはずだ。
 
マニークはグルに向かって言う。
「お前は正直で頭も良い。それを大事にしろ」
 
グルは懸命に働き、会社はどんどん大きくなる。
バック音楽として、トルコの酒場で流れていた Mayya (マイヤ)の後半部分が流れる。
会社の急成長と重なって、効果抜群だ!
グルは妻のスジャータに新車を見せる。何と、超高級ベンツだ!
 
 
ポリエステルの取引で成功したグルは、工場を作ってポリエステルを生産すると言い出す。
しかし、グルの友人でスジャータの弟のジーグネスは、
「車を買ったからといって工場を夢見るなど、とんでもないことだ」と反対する。
しかし、グルは言い放つ。「夢が持てないなら、イダル村に帰れ!」
「資金はどうするんだ」とジーグネス。
 
グルは言う。
「株を公開して工場を建てる。
10 ルピー払えば、誰もが会社のオーナーだ。
工場が儲かれば、皆も豊かになれる」
 
この映画のモデルとされるディルバイ・アンバニも株式を公開し、5 万人以上の出資者を集めた。アンバニは、人絹(レーヨン)の光沢がサリーに合うと確信し、日本から大量に人絹を仕入れて大儲けしたんだって。知ってた?
 
ジーグネスは、自分の意見も少しは聞いてくれと言うが、グルは聞く耳を持たない。
「こんな奴とはやってられない」と、ジーグネスは外へ飛び出す。
後を追うスジャータとグル。
 
ジーグネスは、スジャータに向かって言う。
「こいつには金しかない。なぜこいつが姉さんと結婚したと思う?
持参金目当てだ。こいつは事業を立ち上げたかった。
こいつにとって、姉さんは資金に過ぎない」
あ~あ、それを言っちゃ~。
 
「嘘でしょ。本当なの?」とスジャータ。
何も答えられないグル。
2 人の間に路面電車が割って入る。何か不自然だけど、雰囲気は出ている。
 
ジーグネスとスジャータは、グルを残して故郷のイダル村に帰る。
流れる曲は、「Tere Bina」(君なしでは)。
 
 
君なしでは 少しも楽しくない
君のいない夜は 本当に味気ない
夜は乾ききり 寂しさに包まれる
君のいない夜は 本当に味気ない
 
グルは、スジャータを迎えに行く。
「私とじゃなく、世界と戦って」とスジャータ。
「君が側にいてくれたら、世界と戦える」とグル。
 
そして、工場の起工式。工場が完成し、会社はさらに急成長。
グルは、インドのビジネスキングと呼ばれるまでになる。
 
しかし、グルの急成長を快く思わない連中がいる。新参者を叩き潰せ。
日本もインドも同じだ。出る杭は打たれる。
 
英語では Contractor と言ってるので、土建屋の親玉か、それても業界のボスか? そいつがグルに白紙小切手を差し出して、次のように言う。
「白紙小切手だ。好きな数字を書いてくれ。グル君、どんな物にも 値段がある。
君がここまで大きくなるとは驚きだ。
君は 独自の道を作った。素晴らしい。
しかし 、その道はここで終わりだ」
 
う~む、よく分からんが、好きなだけ金をやるから、この業界から手を引け、さっさと出て行けと言ってるんだよな、多分。旧態依然とした抵抗勢力が、若者の改革を妨害するといった構図だ。
 
グルは新聞社に Contractor の暴露記事を書かせ、徹底的に叩かせる。
映画では、この部分の描写が弱い。
グルは、やった。新聞記者への賄賂だ。買収だ!
 
一連の記事を見たマニークは、グルの仕業だとすぐに気が付く。
自社の記者が買収されてグルの都合の良い記事を書いたと知ったマニークは、シャーム・サクセナーとグルを呼ぶ。
 
マニークの部屋を訪れたサクセナー、グル、そしてメヌーの 3 人。
なぜ、メヌーまで来るのかよく分からないが、、、
 
そこで、マニークはサクセナーにグルをどう思うかと聞く。
「正直に言ってくれ」とマニーク。
「正直に言うと、この人は刑務所に閉じ込めて、鍵を排水溝に投げ捨てるべき害虫です。
この人は堂々と法を破り、それを覆い隠した後、その上に花や噴水のある美しい公園を作る。
少し時間が経つと人々は、そこで不正が行われたことを忘れてしまう」
 
これは、マニークの宣戦布告だった。グルの不正を徹底的に暴け!
これが、サクセナーに下された命令だった。
 
ええっ、これからどうなるんだ!!!
  
 
さあ、休憩だ。 トイレ、トイレ。