2015年12月25日金曜日

どれも良かった、今年のインド映画

今年の自分なりの最高の映画は Haider。
しかし、鑑賞会の反応はほとんどなし(日本人もインド人も)。
まあ、いいさ。 Delhi Belly もそうだったじゃないか。


今年見たインド映画は、どれも良かった。
まずは、PK。


次に Ai。


そして Haider。


今は Bajrangi Bhaijaan と格闘中。


どれも素晴らしい映画だけど、自分には Haider が強烈すぎた。

本当に考えさせられた。
カシミールって、いったい、どういうところなんだ。
イスラムもヒンズーも、いがみ合う必要もないのに、なぜ不必要に敵対しているんだ。
今の世界も、テロだの何だの、普通に暮らす人々には関係のないことじゃないか。
隣の人が何教でも関係ないじゃない!

Bajrangi Bhaijaan も同じようなテーマを扱っている。
インドは今の世界の縮図かもしれない。
宗教の違いを克服する鍵は、インドにあるように思える。
そんなことを感じられたのが、今年の収穫。

Bajrangi Bhaijaan、翻訳を終えたかったけど、もう無理みたい。
でも、絶対に面白い映画だ。

インド映画界がどんな映画を作ってくれるのか、来年も楽しみだ。

2015年12月13日日曜日

Bajrangi Bhaijaan -- その 2

話すことができないパキスタンの少女がインドに 1 人取り残され、バジェランギと呼ばれている男(サルマン・カーン)に出会う。バジェランギは猿の姿をした神様バジェラングバリの信奉者。バジェランギは少女を哀れに思い、その子を連れてバスに乗る。
パスに同乗していた乗客とも親しくなり、バジェランギは自分のことを語り始める。

バジェランギの本名はパワン。
厳格な父親の薫陶を受けて育つが、勉強は苦手で、試験には何度も不合格。
業を煮やした父親はパワンに言う。
「デリーへ行け」
お前のような役立たずでも、都会では仕事があるから、自分の友人がいるデリーへ行って仕事に就けというのだ。その父親は、パワンが試験に合格したと聞いて、驚きすぎてこの世を去る。パワンは、父に言われたとおり、父の友人ダヤナンジーを頼ってデリーに行く。

デリーで知り合ったのが、ダヤナンジーの娘で教師のラシカ(カリーナ・カプール)。
インド映画では、一瞬で恋に落ちる。この映画もそう。曲は「Tu Chahiye」(あなたが欲しい)。


ダヤナンジーは娘との結婚の条件として、「苦労して働いて稼いだ金で家を買え」と言う。
そして現在、家を買う準備を進めているのだ。

そんな話しをしているうちに、バスはデリーに到着。
バジェランギは、シャヒダを連れてダヤナンジーの家に戻ってくる。

(続く)

Bajrangi Bhaijaan -- その 1

Haider (ハイデル)は重苦しい、陰鬱な、インド映画らしくない映画だった。
歌と踊りはあるけど、ハムレットでは父王殺害の状況とそっくりの筋立ての芝居をする場面、Haider では歌と踊りで表現している。ストーリー的にも重要な場面で、気楽に楽しむ雰囲気ではない。皆でワイワイ言いながら見るのではなく、誰にも邪魔されずに 1 人で見たい映画だ。

それに比べると、Bajrangi Bhaijaan (バジェランギ・バイジャン)はインド映画らしい映画だ。
国がインドとパキスタンに分かれてしまっている問題や、ヒンズー教徒とイスラム教徒の問題、カーストの問題、ベジタリアンと非ベジタリアンの問題など、インドが抱える様々な問題が描かれているが、映画はコミカルで面白く、インド映画特有の歌と踊りも十分に楽しめる。

楽しい映画だと、字幕の翻訳がどんどん進む。あっと言う間に、40 %近く完成した。
時間にすると、上映開始から 55 分を少し過ぎたところ。

ここまでのストーリーを紹介すると、、、

映画が始まる。クリケットの中継.を村人が集まって見ている。
パキスタンのスルタンプール村。
パキスタンを勝利に導いたのは、パキスタンの英雄シャヒッド・アフリディ
その中継に熱中している妊婦。シャヒッドの大ファンで、生まれた娘をシャヒダと名付ける。

この子が、とんでもなくかわいい。その上、演技がメチャメチャうまい。
どこで見つけてきたんだ、こんなすごい子役。


見たらわかると思うけど、この格好はイスラム教。
パキスタンはイスラム教が当たり前だけど、インドは複雑。

シャヒダは 6 歳になっても話せない。インドのニザームッディーン・アウリヤー廟に連れて行けば話せるようになると聞いた母親は、シャヒダをインドに連れて行く。
帰りの夜行列車が国境の手前で突然停車。シャヒダは子ヤギを見つけ、母親が眠っているすきに列車を降りてしまう。
列車が動き出す。
母親はパキスタンとの国境を越えてしまう。
口が利けないのに、インドに 1 人で取り残されてしまったシャヒダ。

パキスタンに戻って泣き崩れる母親。
村人の 1 人が言う。
「インドにも神様がいる。心配ない。大丈夫だ」

シャヒダの前に現れたのは、この映画の主人公、サルマン・カーン演じるバジェランギ。


曲は「Selfie Le Le Re」(自撮りをしよう)。
猿の姿をした神様バジェラングバリ(ハヌマーン)を信奉している。
本名はパワンだが、バジェラングバリにあやかって、皆は彼をバジェランギと呼ぶ。
バカ正直で、自分を犠牲にしてでも困っている人を助けるタイプの男。
シャヒダはそんなパワンを自分を助けてくれる神様と思ったのか、彼の後を付いていく。
自分の後を付いてくるシャヒダを哀れに思ったパワンは、シャヒダを一緒に連れて行くことにする。

シャヒダと一緒にバスに乗ったパワン。
耳は聞こえるが話せないシャヒダに向かって、「俺が町の名前を言うから、お前の家がある町だったら手を挙げろ」
そう言うと、インドの町の名を次々挙げる。
「デリー、メーラト、ファリダバード・・・」
一緒にバスに乗っていた乗客の一人が、「バローダ?」
乗客たちが次々を町の名を言ううちに、一人の乗客が「プラタップガル?」

それを聞いたパワン、「あなた、プラタップガルから?」
パワンもプラタップガルの出身。
「最近はデリーにいるんだ」とパワン。
「なぜデリーに? 仕事、それとも女か」
「話せば長くなる」
「いいから聞かせてくれ」と乗客たち。

そして、パワンの生い立ちが語られる。
ここまで、映画が始まって 26 分 30 秒。
長くなるので、彼の生い立ちと、彼が置かれている今の状況は、次回紹介します。

2015年12月7日月曜日

Bajrangi Bhaijaan -- 翻訳準備完了

Bajrangi Bhaijaan (バジェランギ・バイジャン)の翻訳準備完了。
来年暖かくなるころを目標に字幕を翻訳していこうと思う。

翻訳環境だけど、こんな感じ。


Aegisub で画像と音声を確認しながら、Google 翻訳者ツールキットを使って翻訳している。
この翻訳環境を整えるには、DVD に入っている VOB ファイルから、SRT 形式の字幕ファイルと、AVI 形式の動画ファイルを作成する必要がある。

VOB ファイルから SRT 形式の字幕ファイルを作成するには、SubRip が便利。
DVD の字幕は画像形式。SubRip には OCR が内蔵されていて、画像形式の字幕を文字形式に変換してくれるのだが、ほとんどの場合 I (アイ)と l (エル)が区別できない。字幕を作成した後に、手作業で修正する必要がある。
MS Word や互換ソフトでスペルチェックを実行すると、修正は比較的簡単。
STR 形式の字幕ファイルができたら、それを翻訳者ツールキットにアップロード。

VOB ファイルから AVI 形式の動画ファイルを作成するのは、CravingExplorer が便利。
このソフト、YouTube などの動画サイトから動画をダウンロードするツールだが、変換タブに VOB を放り込むだけで AVI に変換してくれる優れものだ。

Aegisub で STR 形式のファイルを開き、映像として AVI 形式の動画を読み込み、音声として映像から音声を読み込めば準備完了。上の画像のような作業環境ができあがる。

11,597 ワード、仕事を休んでメチャメチャ頑張れば 1 週間くらいで完成するかもしれないけど、気が向いたときだけの作業なので、完成はいつになることやら。
ボチボチとやっていきますので、少々お待ちを。

2015年12月6日日曜日

HIDER (ハイデル) -- 日本語字幕を公開

やっと、やっと、やっと Haider 日本語字幕 できた!
夏にはできるはずが、4 か月遅れの完成。
ここで公開してるので、興味ある人はどうぞ。

日本語字幕で見た Haider、良かった!
評価は、最高級の S

歌や踊りを楽しむ映画じゃないから、インド映画らしくないかもしれない。
だからこそ、日本で公開すればヒットするのではないかと思う。

前半はカシミールの悲劇。
様々な武装勢力を強権で鎮圧するインド軍。
インド軍に与えられた特権。軍事政権下のカシミール。
令状なしの逮捕など日常茶飯。
軍に逮捕されて、そのまま行方不明になってしまうことも日常茶飯。
この映画は、訴える。カシミールの人々に人権はない。

後半は、ハムレットをベースにしたストーリー。
ただし、解釈は異なる。
兄殺しの弟が、祈りながら自分の罪を告白する場面。
ハイデルは銃を持って真後ろに立つ。
しかし、引き金を引かない。
祈りの途中で殺したら天国に行ってしまう。
自分の父親を殺した罪人を天国には行かせない。
だから引き金を引かなかった。
これ、ムスリムの理屈かもしれないが、原作より説得力がある。

この映画、始めてみたら何気なく通り過ぎてしまいそうなところに、様々な仕掛けがしてある。
二回目に見ると、そこに気が付いて、また面白い。二回目は一回目以上に楽しめる。
この監督、只者じゃない。

この映画をこれほど魅力的にしているのは、魔性の女ガザラ・ミール役を演じているタブーの演技力だ。

ガザラ(タブー)

モデルは、ハムレットの母ガートルード。
弱き者、汝の名は女なり。難しい役だが見事に演じている。
妖艶な美しさが印象に残る。本当に夫を殺したのか?
謎だ。こんな美しい人が、罪を犯すはずがない。

ハイデル役のシャーヒド・カプールも適役だ。

ハイデル(シャーヒド・カプール)

父が軍に逮捕されたまま、行方不明に。
父を探すうちに、弟に殺されたと聞く。
あの有名な台詞「To be or not to be」も出てくる。

一回目見たときはさほど印象に残らないが、二回目以降はすごい存在感で迫ってくるのが、ハイデルの父と同じ収容所に入れられていたというローダール。

ローダール(イルファン・カーン)

ハイデルの父親の亡霊的存在。
ハイデルに父の復讐をするよう迫る。

この映画、日本でも公開してほしいなぁ~
日本語版 DVD を出せばいいのに。
ごく一部の人が見て、カシミールって本当にこんな所? と思ってくれるだけでも、この映画の価値がある。

日本語字幕付けたインド映画を YouTube にアップロードしたら違法だし、、、、あ~あ、もったいない。せっかく日本語字幕を作っても、誰の役にも立たないとは、、、、
許されるのなら、この映画、日本語字幕付きでいつでもタダで公開するぞ!