カラン・ジョーハル監督が、歌とダンスといったインド映画らしさを徹底的に排除して、グローバル・スタンダードの「普通に面白い映画」を目指して作り上げた映画だ。
当然、インド映画らしくない映画なので、インド映画ファンにとっては残念な、ごく普通の映画に仕上がっている。
しかし、日本語吹き替え+日本語字幕版が 1000 円未満で買えてしまうので、絶対にお得だ。
秋の夜長は、これで決まり。
原題は「My name is Khan」。2010 年の公開で、同年 12 月には 20 世紀フォックスから日本語版 DVD が発売されている。2010 年前後は、米国資本が第 2 第 3 のカンフー映画を夢見て、インド映画界に資本をつぎ込んだ時期で、インド映画らしからぬインド映画が多く作られている。
インド映画界の一部には、歌やダンスはもう古い、そんな映画は田舎者が見る映画だといった風潮さえあったようだ。
この DVD には、おまけとして「ボリウッドの新風」という短いフィルムが収められていて、上記の事情の一端がよく現れている。
映画の概要は、ここを見てほしい。
「全米が泣いた!! 『フォレスト・ガンプ』に続く、号泣必至のヒューマンドラマ!」ということらしい。インドのスーパー スター、シャールク・カーンに「フォレスト・ガンプ」の二番煎じと言ってやるのは可愛そう。
それより、シャールク・カーンが、超シリアスな役柄をどのように演じているかの方が、はるかに興味深い。
同じシャールク・カーンの 2013 年のフィルム「Chennai Express」(チェンナイ急行)に、次のようなシーンが出てくる。
スリランカへ向かう密輸船がインド海上警察に拘束されたときに、シャールク・カーンが海上警官に向かって言う。「I'm not a terrorist.」(僕はテロリストではありません)。
もちろん、この映画のパロディー。
さて、繰り返しになるが、普通に面白い映画だ。インド映画ファンでなくても(ない方が?)十分に楽しめる。
他のインド映画らしいインド映画の日本語版も、これくらいの値段で出してほしいよね。
そしたら、自力で英語字幕を翻訳する必要もなくなるのに。
My name is Khan見させていただきました.感動的な映画でした.紹介ありがとうございました.ヒンディー語,頑張ってください.
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